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防衛省向け航空機の電気設計に、設計システムと製品データ管理システムを導入:メカ設計ニュース
川崎重工業は、防衛省向け航空機の電気設計に活用するため、図研の電気制御、ハーネス設計システム「E3.series」と製品データ管理システム「DS-2」を導入した。号機別のワイヤハーネスのトレーサビリティー確保に要する工数を削減した。
図研は2022年5月31日、防衛省向け航空機の電気設計に活用するため、川崎重工業(以下、川崎重工)が同社の電気制御、ハーネス設計システム「E3.series」と製品データ管理システム(PDM)「DS-2」を導入したと発表した。
機体の安全性を確保するため、航空機には厳格な品質管理とトレーサビリティー(履歴管理)が求められる。川崎重工が開発する防衛省向け航空機の機体は、生産期間を含む製品ライフサイクルが50年と長く、号機固有の設計から製造工程の情報、メンテナンスに伴う装備品やワイヤハーネスの変更箇所の把握、整合性管理に膨大な工数がかかっていた。
川崎重工では、号機別のワイヤハーネスのトレーサビリティー確保に要する工数を削減するため、図研のE3.seriesとDS-2を導入。設計から製造の各工程で設計データの整合や出図を自動化するプロセスを構築し、ワイヤハーネスの設計と製造の工数削減とトレーサビリティーに対応した。
これまで、4万本に及ぶ航空機用ワイヤハーネスの導通検査用データ作成には12人月を費やしていたが、新たな設計、製造プロセスにより大幅に工数を削減。川崎重工は、設計業務が改善したことで出図タイミングが早まり、製造リードタイムの短縮につなげることができた。
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