工場セキュリティの課題に対応するDX工場ネットワークを日本で提供:FAニュース
シーメンスは4社と協業し、サイバーセキュリティのモデルラインとなる、DX工場ネットワークを日本国内に構築し、実証ラインでの提供を開始した。セキュリティリスクの継続的な監視に加え、セキュアなリモートアクセスなどに対応する。
シーメンスは2022年5月19日、AGEST、アイデン、ネットワークバリューコンポネンツ(NVC)、Nozomi Networksの4社と協業し、サイバーセキュリティのモデルラインとなる、DX(デジタルトランスフォーメーション)工場ネットワークを日本国内に構築し、実証ラインでの提供を開始したと発表した。
工場のサイバーセキュリティは必要不可欠だが、日本ではまだ具体的なネットワーク構築事例が少ない。シーメンスらは、各社の技術や運用、サービスを統合し、工場におけるセキュリティリスクの継続的な監視に加え、セキュアなリモートアクセスと社内設備のアセット管理から制御通信プロトコル監視に対応する。
今回の協業でシーメンスは、産業用ネットワーク機器「Scalance」を提供する。工場では、IT技術や知見を活用したサイバーセキュリティが求められるが、可用性が第一優先となる。そのため、設備ネットワークをセル化してセキュリティレベルを決定し、そのレベルに準じた対策をとるセルコンセプトを採用。セルを多層化することで、生産に対してセキュリティインシデントが及ぼす影響を低減し、Zero Trustを考慮したセキュリティにも対応する。
また、アイデンは、DXセキュリティ制御盤の設計と製作を担当する。NVCは、国内販売代理店として、工場セキュリティ対策製品「Nozomi Networks Guardian」を提供。同時に、AGESTと連携して、工場セキュリティのインシデント監視と運用サービスを提供する。
今回の取り組みにより、工場のOT(Operational Technology)のセキュリティに関する課題に対応する。今後より多くの企業と協業を拡大し、ソリューションの拡張、深化を進め、製造業の工場セキュリティの課題に対応していく。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スマート工場の約半分がサイバー攻撃で生産停止、その内4割以上が4日以上止まる
トレンドマイクロは2021年4月23日、日本、米国、ドイツの3カ国を対象とする「スマートファクトリーにおけるセキュリティの実態調査」の結果を発表した。本稿ではその内容を紹介する。 - スマート工場で見逃されている2大侵入ポイントとは?
スマート工場化が加速する一方で高まっているのがサイバー攻撃のリスクである。本連載ではトレンドマイクロがまとめた工場のスマート化に伴う新たなセキュリティリスクについての実証実験研究の結果を基に注意すべきセキュリティリスクを考察する。第1回では、工場の「スマート化」とは何かを定義するとともに、そこから見えたスマート工場特有の侵入経路について解説する。 - 工場のネットワークセキュリティ対策とは?
インダストリー4.0や工場向けIoTなどに注目が集まっていますが、そもそも工場内のネットワーク環境は、どのように構築すべきなのでしょうか。本連載では、産業用イーサネットの導入に当たり、その基礎から設備設計の留意点などを含めて解説していきます。第5回では、工場のネットワークセキュリティ対策について解説します。 - 制御システムセキュリティの現在とこれから
制御システム技術者が知っておくべき「セキュリティの基礎知識」を分かりやすく紹介する本連載。最終回となる今回は、今までに述べてきた制御システムセキュリティの基礎的な考え方をまとめた上で、これから制御システムセキュリティの分野がどうなっていくのかについての考えを紹介する。 - PLCが人質に取られて脅迫される時代へ、IoTがもたらす産業機器の危機
JPCERT コーディネーションセンターと経済産業省は「制御システムセキュリティカンファレンス」を開催。高度化が進む、制御システムへの攻撃の事例を紹介した。