バッファローが法人向けWi-Fiに本腰、中規模ユーザー向けラインアップを強化:製造業IoT(2/2 ページ)
バッファローが法人向け事業戦略および新製品の発表会を開催。オフィスや工場、倉庫、店舗などの中規模ユーザー向けスタンダードモデルとして、Wi-Fi 6対応の無線LANアクセスポイント「WAPM-AX4R」を2022年8月上旬に発売すると発表した。
法人向け市場ではまだ認知度が低い
バッファローの法人向け事業は、法人向け無線アクセスポイント「AirStation Pro」が2001年の販売開始から2021年末までに累計販売145万台、法人向けNAS(Network Attached Storage)「TeraStation」が2004年から2021年末までに累計販売115万台を突破するなど拡大している。しかし、家庭向けと比べると「法人向け市場ではまだ認知度が低いのが実情」(バッファロー 常務取締役の横井一紀氏)となっている。
そこで、テレワークの導入やBCP(事業継続計画)策定が特に遅れている中小企業への支援を、人手・IT人材不足、BCP対策、テレワークや業務デジタル化のインフラ構築の3つの軸で強化し、さらなる拡大を図る。
人手、IT人材不足については、機器導入後に無料でリモート管理する「キキNavi」を2019年から開始し、登録法人5200社、登録台数2万5000台(いずれも2022年3月末時点)に達している。2022年冬からは製品購入時に販売店が開梱せずにキキNaviへの機器登録などが可能になる「キキNaviクラウドゼロタッチ」をスタートさせる。
BCP対策としては、フォルダ単位で管理できるNASに特化した「キキNaviクラウドバックアップサービス」を2022年2月から開始した。現在の1、3、5年という年単位の保守期間だけではなく、月単位で利用できるようにするサブスクリプションメニューも2022年冬には提供するという。
テレワーク・業務デジタル化のインフラ構築では、10GbE対応の有線モデルのVPNルーター「VR-U500X」とWi-Fi 6対応の無線モデルのVPNルーター「VR-500W」を2022年5月に発売、同年7月にはL2P/IPsecに対応するファームウェアを配布する予定。さらに先述の「WAPM-AX4R」を8月上旬より投入する。
世界的な半導体不足や原材料費などの高騰も続いている。「これほどモノが入らない経験はない。複数選択肢の確保など、あらゆる取り組みをして安定供給に努めている。ただ、無線アクセスポイントなど一部製品は7月に価格改定を予定している」(バッファロー 取締役の石丸正弥氏)。
現在、総務省では無線LANに使われる周波数帯域の見直しが進んでいる。従来の2.4GHz、5GHzに加えて、新たに6GHz帯が開放され、新規格Wi-fi 6Eがスタートする見込みだ。「2022年の秋、もしくはそれより前に法改正が行われるだろう。今まで使えなかった周波数が使えるようになるため、混雑もなくなりチャンネル設定もより柔軟に行える。利便性がより向上する」(バッファロー 事業本部 法人マーケティング部長の富山強氏)。同社でも法改正が行われ次第、速やかに商品化を図るという。
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