AI開発競争の優位性確保に向け、処理性能580PFLOPSのスパコン構築を開始:製造ITニュース
NECは、AI開発において優位性を維持、確保するため、AI研究用スーパーコンピュータの構築を開始した。システムの設計、構築に数10億円を投じ、2023年3月には国内企業で最大規模となる、580PFLOPS超のシステム稼働を予定している。
NECは2022年5月17日、AI(人工知能)開発において優位性を維持、確保するため、AI研究用スーパーコンピュータの構築を開始したと発表した。システムの設計、構築に数10億円を投じ、2023年3月には国内企業で最大規模となる、580PFLOPS超のシステム稼働を予定している。
同システムは、1ノード当たり8基のハイエンドGPU「NVIDIA A100 80GB Tensor コア GPU」を搭載したGPUサーバ116台と、16PB(ペタバイト)を超すEXAScalar並列ファイルシステムを搭載したストレージアプライアンスで構成する。理論上での処理性能は580PFLOPS超で、数千枚の画像を数分間で学習可能になる。
ネットワークは、高速イーサネットスイッチ「NVIDIA Spectrum SN3700」を採用し、全てのサーバを200GbEで接続。RoCE(RDMA over Converged Ethernet)v2による高速かつ低遅延の通信をすることで、分散学習を高速化する。
これらのハードウェアとソフトウェア群を、コンテナ管理技術「Kubernetes」などを活用した独自の構築技術で密に結合させることで、高性能かつ利便性の高いシステムを開発する。
既に、100PFLOPSの一部システムは、同社のAI研究者が利用を開始している。今後構築する480PFLPOSのシステムを追加することで、AIに特化した研究開発環境による先進AIの開発に貢献していく。
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