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自動車メーカー好業績の裏で、伸び悩んだ生産台数自動車メーカー生産動向(4/4 ページ)

2021年度の自動車産業は、半導体不足や部品供給網の混乱などに振り回された1年だった。日系乗用車メーカーの2021年度の業績はおしなべて好決算だったものの、円安の追い風による部分が大きく、生産台数は伸び悩んだメーカーも少なくない。

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スバル

 スバルも半導体不足や東南アジアからの部品供給難などによる減産への影響が大きく表れた。2021年度のグローバル生産台数は、前年度比10.3%減の72万6686台と2年連続で前年実績を下回った。前年のコロナ禍で大きく落ち込んだ水準をさらに割り込んだ格好だ。

 このうち国内生産は同13.3%減の45万5166台と2年連続のマイナス。海外生産も同4.8%減の27万1520台と3年連続の前年割れとなった。スバルは、米国の経済回復など国内外での受注が好調で、需要に対して車両供給が追い付かない事態が続いている。同社社長の中村知美氏が「米国の在庫状況は過去最低を更新している状況」と説明するなど、在庫不足が深刻化している。

 3月単月のグローバル生産台数は、前年同月比6.4%減の6万5410台と2カ月連続の前年割れとなった。中でも国内生産は同21.8%減の3万8298台と落ち込みが目立ち、2カ月連続のマイナス。これは宮城・福島沖地震によりサプライヤーからの部品供給が滞ったことが響いた。一方、海外生産は同30.1%増の2万6842台と4カ月ぶりにプラスへ転じた。

マツダ

 8社で最も厳しい結果となったのがマツダだ。2021年度のグローバル生産台数は、前年度比12.6%減の102万3526台と4年連続で減少した。三菱自にわずかながら及ばず、生産台数は8社中7位となった。半導体不足やサプライチェーンの混乱に加えて、相次いだ自然災害に苦しめられたことも要因となった。

 世界生産の3分の2以上を占める国内生産は、前年度比6.8%減の69万6464台と3年連続のマイナス。半導体など部品供給不足による稼働停止をはじめ、大雨で本社工場と防府工場で7、8月と稼働を停止。また8月は中国・上海の空港でCOVID-19感染が確認されたことによる貨物便での部品供給難も発生し、稼働停止を余儀なくされた。

 その結果、8〜10月の単月での国内生産台数は、統計の開示以降で最少だった。ただ、日本からの輸出割合が大きい米国事業は、販売台数が前年度比12.6%増と、統計開始以来の年度としての過去最高を記録するなど好調だった。欧州販売も同6.4%増とプラスを確保した。

 国内以上に厳しい結果となったのが海外生産だ。2021年度は前年度比22.8%減の32万7062台と4年連続で前年実績を下回った。8社の海外生産では最大の減少幅だった。国別では、中国はいち早く市場回復が進んだ前年の反動減の他、空港でのコロナ影響などによる稼働停止に加えて、「マツダ6」や「CX-4」の需要減退が重なり、同33.6%減の15万2465台と、中国生産する5社で最大の落ち込みとなった。

 タイも半導体不足の影響や、東南アジアでの変異株の感染拡大による稼働停止、さらに2021年3月末でピックアップトラック「BT-50」の生産を終了したことも響き、同27.8%減と低迷。メキシコは半導体不足による操業停止と、トヨタ向けOEM車の生産終了により同3.7%減だった。ただ、米国で新工場を稼働したため、北米トータルでは同1.8%減の13万75台となった。

 3月単月も半導体不足やサプライチェーンの混乱による減産が続いている。グローバル生産台数は、前年同月比27.7%減の9万2026台と9カ月連続のマイナスで、8社では最大の減少幅となった。このうち国内生産は同29.0%減の6万2810台と9カ月連続で前年実績を下回った。主力モデルの「CX-5」が同25.2%減、「CX-30」が同28.2%減と低迷した。

 海外生産も厳しく、前年同月比24.9%減の2万9216台と2カ月ぶりのマイナス。中国が半導体不足やCOVID-19の感染拡大により操業を停止し、同45.3%減と大幅な落ち込みを見せた。タイもBT-50の生産停止の反動減により同20.8%減と低迷。メキシコは6日間の操業停止の影響で同19.0%減となった。米国の新工場で生産する新型車「CX-50」は1977台で、北米トータルでは同6.0%減の1万4235台だった。

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