AMDがROS対応のロボット開発キットでNVIDIAに対抗、開発期間を約5分の1に短縮:組み込み開発ニュース(2/2 ページ)
AMDは、SOM製品「Kria」の新たなラインアップとして、オープンソースのロボット開発フレームワーク「ROS 2」をネイティブでサポートする「Kria KR260ロボティクス・スターターキット」を発表。NVIDIAの競合ソリューションと比較して、ソフトウェア開発期間が約5分の1、消費電力1W当たりの性能が8倍以上、レイテンシが3分の1以下になるという。
ソニーのイメージセンサー用高速インタフェース「SLVS-EC」を採用
追加要素の2つ目は、高性能ビジョンセンサーへの対応である。KV260が一般的なイメージセンサーインタフェースであるMIPIを搭載していたのに対し、KR260はソニーの高速インタフェース規格である「SLVS-EC(Scalable Low Voltage Signaling with Embedded Clock)」を採用した。これにより9.5Gb/sの帯域幅を用いて2つ以上のデータレーンで高画素のイメージセンサーを接続できるようになる。また、SFP+準拠の10GbEインタフェースも搭載しており、これら高画素イメージセンサーのデータをファクトリーオートメーションなどの他システムで活用することも容易になっている。
3つ目は、工場向けの産業用ネットワークへの導入検討が進みつつあるイーサネットベースのTSN(Time-Sensitive Networking)への対応だ。KR260は、イーサネットポートを4つ用意しており、これらのうち2つは外付けスイッチなしでTSNを利用できるようになっている。また、ROS 2のマルチノード通信に対応するTSNアプリケーションも追加した。
なお、今回の発表に合わせて、量産製品向けのSOMであるK26の価格を改定している。動作温度0〜85℃で2年保証のCグレードは250米ドルから300米ドルに、動作温度−40〜100℃で3年保証のIグレードが350米ドルから420米ドルに変更された。ただし、AIカメラ向け開発キットであるKV260の価格は199米ドルで据え置いている。
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