EVへの懸念と実際の満足度は? サブスクで新車に乗る人は? 自工会が調査:電動化(2/2 ページ)
日本自動車工業会がまとめた「2021年度乗用車市場動向調査」では、EV(電気自動車)や安全技術に対する高い関心が示された。その一方で、自動車に支払う費用に負担を感じる声も小さくない。カーシェアリングの利用経験やサブスクリプションサービスの利用意向の少なさも判明した。
今後の買い替えは未定が6割、EVを検討する人は3割に
今後の買い替えについて尋ねると、「時期未定」が6割強、「5年以内に買い替え予定」が約2割、「保有をやめる予定」は1割強となった。保有台数については、増車よりも減車の意向が上回っている。身体的要因、経済的要因の他、使用頻度の減少が減車の理由に挙げられている。新車で購入して現在保有しているクルマの保有予定期間は「7年超」が約7割に上る。
どの車種の保有者も同クラスへの買い替えを考えている。軽自動車では同クラスでの乗り換え意向が73%で最も高い。車体サイズも「今と同じくらいの大きさ」を求める人が7割弱を占める。「今より小さいクルマを買う予定」という回答者は前回の調査から増加して2割だった。
買い替えるクルマのパワートレインの意向については、ハイブリッド車(HEV)やプラグインハイブリッド車(PHEV)、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCV)を合算した「次世代エンジン」は48%に増加した(HEVだけで37%を占める)。EVの購入意向は前回の調査時の3%から大幅に増加して9%となった。
電動車に対する認知度は、HEVとEVが6割前後だったが、PHEVは29%、FCVが25%と3割に届かなかった。また、電動車の購入意向を尋ねると、「購入を検討したい」「やや購入を検討したい」と回答した人はHEVで44%、EVで29%、PHEVで22%、FCVで9%となった。
電動車への懸念点としては、車両価格の高さの他、EVに対しては充電時間、1回の充電での走行距離、充電施設の場所や数、バッテリーの耐用年数が挙げられた。HEVやPHEVもバッテリーの耐用年数への不安が指摘された。FCVは水素ステーションの場所や数への心配が回答に挙がった。
EVやPHEVのユーザーへの調査からは、燃料コストや静粛性について期待と満足度が一致していることが分かった。充電場所や充電の頻度、走行距離の長さに満足しているユーザーは5割程度で、大都市以外のユーザーを対象にすると走行距離や充電頻度、充電時間への満足度が大都市よりも下がる傾向があった。
サブスクやリースを使う意向はごく少数に
所有せずにクルマを使うことができるカーシェアリングや、月々の支払いを定額にする“サブスクリプション”についても調査の中で尋ねた。
カーシェアリングについては、「名前と特徴を認知している」という回答が約4割となった。首都圏の中心部に近いほど、カーシェアリングの認知度は高い。利用経験について尋ねると、乗用車保有世帯でカーシェアリングを「現在利用している」「過去に利用したことがある」という回答は3%にとどまった。レンタカーでは54%であることを考えると、かなり低水準であるといえる。
カーシェアリングの利用意向に関する質問では、乗用車保有世帯での「積極的に利用する」「機会があれば利用する」の合計は16%となった。レンタカーは52%となっている。なお、個人間カーシェアリングは8%となっている。
クルマの購入方法について、直近2年以内に新車を購入した人に尋ねると、「現金一括で購入」が56%を占めた。「一般のローンやクレジットを利用した」という回答が21%、「残価設定型・据え置き型のローンやクレジットを利用した」という回答が20%となった。リースは3%、サブスクリプションサービスは1%となっている。現金一括での購入は地域別にみると首都圏中心部で、年齢別にみると60代以上で6割を超えた。
買い替えの意向がある世帯に購入方法の予定を尋ねると、57%が「現金一括で購入」と答えた。「一般のローン、クレジット」が28%、「残価設定型・据え置き型ローンやクレジット」が11%。リースが3%、サブスクリプションサービスが1%となった。
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