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3Dモノづくりで失敗しないための道具(ツール)選びのポイントとは?テルえもんの3Dモノづくり相談所(10)(3/4 ページ)

連載「テルえもんの3Dモノづくり相談所」では、3Dモノづくりを実践する上で直面する“よくある課題”にフォーカスし、その解決策や必要な考え方などについて、筆者の経験や知見を基に詳しく解説する。第10回のテーマは「3Dモノづくりで失敗しないための道具(ツール)選び」だ。

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3Dモノづくりに必要な周辺機器について

3Dプリンタ選びのポイント

 3D CADやPCの他にも、3Dモノづくりをするには必要な周辺機器が多くあります。代表的な例としては「3Dプリンタ」が挙げられます。

 一般的に製品を量産する場合は、金型を製作したり、金属を曲げたり、削ったりしながら部品を製作し、組み立てていきますが、3Dプリンタであれば、3D CADで設計したものを試作したり、部品や最終製品を造形したり、あるいは治具を製作したりなど、スピーディーなモノづくりの実現に役立てられます。

画像はイメージです
図3 画像はイメージです(scanrail/iStock、Marina_Skoropadskaya/iStock)

 3Dプリンタを選ぶ際には、目的の用途や必要な精度、材料などを決めて、造形方式や機種を選定していきます。詳しくは連載「デジファブ技術を設計業務でどう生かす?」の第3回「いまさら聞けない 3Dプリンタの選定基準」をご覧ください。

 メカ設計で必要な精度や強度を求めていくと、どうしても何千万円もする高額な3Dプリンタが必要になってきます。量産目的など、製造設備として思い切って導入するという選択肢もありますが、小ロット生産などであれば、自社で3Dプリンタを保有するのではなく、外部の造形サービスを利用するという方法もあります。また、各都道府県にある公的施設が3Dプリンタを保有しており、機器を開放しているところもありますので、お近くの施設を調べてみてください。

 外部の造形サービスのほとんどは、3Dデータがあれば無償で見積金額を算出してくれます。また、最近ではWebサービスへ3Dデータをアップロードするだけで、自動で見積金額を提示してくれるものまであります。3Dプリントだけでなく、切削加工や板金加工などもWebで注文できるサービスがありますので、どちらが安いか比較してみるのもよいでしょう。ちなみに、筆者が知っているサービスとしては、「DMM.make」「Kabuku Connect」「meviy」などがあります。

 さて、3Dプリンタの導入についてですが、筆者のオススメは、まずは外部サービスを利用しながら、自社にマッチした3Dプリンタの活用を検討し、目的に適した3Dプリンタを選定するというアプローチです。どんなに高額な3Dプリンタを導入したとしても、何でも作れるわけではありません。やはり、自社の目的に合った3Dプリンタを選ぶためにも、まずは外部サービスなどを利用しながら、いろいろな機種でテスト3Dプリントして、じっくりと検証することが大切です。

 もしかするとベンチマーク目的であれば、3Dプリンタの販売メーカーがテストに協力してくれる可能性もありますので、一度相談してみるとよいでしょう。その他、口コミに近いかもしれませんが、実際に検討中の3Dプリンタを使用している人(企業)から使用感などを聞いてみる、というのも失敗しない3Dプリンタ選びにつながります。

3Dスキャナー選びのポイント

 3Dプリンタと同じく代表的な周辺機器として、「3Dスキャナー」があります。

 2D図面しかなかったり、3Dデータがなかったりした場合に、現物を3Dスキャンして3Dデータ化できる機器です。3Dスキャンしたデータを基に、3Dプリンタで造形したり、3D CADデータを作成して再設計を行ったり、設計時に作成した3D CADデータと重ね合わせて品質検査を実施したりなどが可能です。

画像はイメージです
図4 画像はイメージです(Ake Dynamic/iStock)

 3Dスキャナーも3Dプリンタと同様に、品質や精度を求めると高額な装置が必要となります。また、3D CADを操作する以上のハイスペックなPCや、3Dスキャンしたデータを編集するための専用ソフトウェアが必要になる場合もあり、導入コストがかかります。そのため、使用頻度によっては、外部の測定サービスを利用するのもよいでしょう。

 3Dスキャナーの詳しい選定方法については、連載「デジファブ技術を設計業務でどう生かす?」の第9回「いまさら聞けない 3Dスキャナーの選定基準」を参考にしてください。

 他にも、さまざまな3Dモノづくりに必要な周辺機器がありますが、選定に失敗しないために共通していえることは、すぐに購入するのではなく、外部サービスを利用したり、レンタルしたり、実物を自身の目で確かめたり、あるいはお試しで使用したりして、十分に検証してから導入に踏み切ることです。

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