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広がる遠隔操作ロボットの世界、川崎重工とソニー、オカムラ、ホンダなどが本格化産業用ロボット(2/3 ページ)

慢性的な人手不足や、コロナ禍による人依存度の低減などから、製造現場でより幅広いロボットの活用が進んでいる。その中で、ロボットによる作業の内、完全自動化が難しい部分だけを人の遠隔操作で補う「遠隔操作ロボット」への取り組みが本格化しつつある。

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新たに遠隔操作ソリューションの事業化を検討するオカムラ

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「PROGRESS ONE」のピッキング用双腕ロボット[クリックで拡大]

 オカムラは、2022年1月に事業化着手を発表した自動作業と遠隔操作をハイブリッドで行える遠隔操作ソリューション「PROGRESS ONE(プログレスワン)」をiREX2022で紹介した。

 「PROGRESS ONE」はAI(人工知能)搭載双腕ロボットとロボット遠隔操作プラットフォームによる遠隔操作ソリューションだ。主に物流現場でのピッキング作業における導入を想定する。通常時は双腕ロボットによる自動ピッキングを行いつつ、ロボット単独では難しいモノをピッキングする際に人が遠隔操作を行ってフォローするというハイブリッド型での使い方を目指す。現在は事業検討中の段階だが、双腕ロボットや遠隔操作プラットフォームは、パートナーを募りつつも基本的にはオカムラが中心となって開発する計画だとしている。

 双腕のピッキングロボットは、吸着と多指ハンドを対象物に合わせて使い分けることを計画。両腕を使うことで、靴製品など蓋つきの箱のように単腕のロボットでは難しい対象物をつかみ上げることを可能とする。ピッキング対象物の認識には独自開発のAIを活用し、事前の商品登録は不要とする。ロボットの自律ピッキングとオペレーターによる遠隔操作の動作データはクラウド上のグローバル学習サーバに集約し、継続的に機械学習を行う。これらの学習結果を各拠点のロボットにフィードバックすることでAIが認識できる対象物を拡充し作業効率を向上させる。

 遠隔操作プラットフォームは、遠隔操作機能と、ロボット単独での自動ピッキングから人の遠隔操作に切り替わる際のマッチング機能を備える。同プラットフォームによりマッチングされたオペレーターは、画面に映された対象物に対し、マウス操作でピッキングを指示する。ロボット側の対象物の認識や把持位置などについては、事前学習によるAIで補助し、ロボットの具体的な動作内容についてもAIが人の判断をサポートする形で自動で最適な動きを選択し、ピッキングを行えるようにする。

 2022年度(2023年3月期)中に物流現場での実証を開始し、2023年度には商品化を目指す計画だ。現在は「エンドエフェクターや対象物検出技術、動作計画策定に関わるAI技術の開発を共同で行ってくれる技術開発パートナーや、これらの技術の実証の場を提供してくれる実証パートナーを募っているところだ」(オカムラ)としている。

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「PROGRESS ONE」の仕組み[クリックで拡大] 出所:オカムラ

不二越はVR遠隔ティーチングを紹介

 遠隔操作ではないが、VR(仮想現実)を活用し、ロボットの遠隔ティーチングを行う「VR遠隔ティーチング」技術を出展したのが不二越だ。ロボットの使用環境拡大のためにティーチングの負荷を低減する取り組みは大きな注目を集めているが、ティーチング作業を遠隔で行えるようにすることで、現地に技術者を派遣する手間などを低減することを目指す。

 現地に設置したカメラを基に仮想空間に現場環境を再現し、遠隔地のティーチング作業者がHMD(ヘッドマウントディスプレイ)で仮想空間を見て、両手のデバイスを操りながらワークや把持位置の指定などを行う。実証では数mm程度のずれで再現し無事にティーチングを行うことができたという。まだ実用化に向けてのめどはたっていないとしているが「リアルの空間と仮想空間のズレを抑えるところなどが今後の課題」(不二越担当者)としている。

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不二越のVR遠隔ティーチングの様子[クリックで拡大]

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