インテルのGPU「Arc Aシリーズ」、CPUや内蔵GPUと連携しAI処理を効率化:組み込み開発ニュース(3/3 ページ)
インテル日本法人が、ディスクリートGPU「Arc Aシリーズ」の特徴や事業展開などについて説明。GPUアーキテクチャ「Xe HPG」の他、CPUや内蔵GPUと連携して電力消費を抑え、性能向上も可能にする機能「Deep Link」などについて紹介した。
「OpneVINO」で「Deep Link」が利用可能に
今回のArc Aシリーズの発表では、ノートPCでのゲーミングにおける性能向上や機能拡張を中心に説明が行われた。一方、ゲーミングにとどまらない形で注目を集めそうな新たな機能となるのが「Deep Link」である。
Deep Linkは、第12世代以降のインテル製CPUと組み合わせてArc Aシリーズを用いる場合に効果を発揮する機能で「動的な電力共有」「ハイパーエンコード」「ハイパーコンピューティング」の3つがある。
まず、動的な電力共有は、CPUとGPUの処理状況を100msのサイクルでモニタリングしながら、それぞれの負荷に合わせて電力配分を変更する機能である。これは、内蔵GPU(iGPU)を集積するインテルのCPUでは既に実績があるものだ。
一方、ハイパーエンコードとハイパーコンピューティングは、ディスクリートGPU(dGPU)であるArcとCPU側のiGPUを組み合わせて、より効率的にエンコードやAI処理を行えるようにした機能だ。
特にハイパーコンピューティングについては、インテルの機械学習サービス「OpneVINO」で利用可能になっており、CPU、iGPU、dGPUに対して、複数エンジンの稼働、動的な負荷分散、ワーカースレッドの適切なエンジンへの割り当てなどを自動で行ってくれる。
Deep Linkを用いることで、動的な電力共有が30%、ハイパーエンコードが60%、ハイパーコンピューティングが24%の高速化が可能になったという。
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