インテルのGPU「Arc Aシリーズ」、CPUや内蔵GPUと連携しAI処理を効率化:組み込み開発ニュース(2/3 ページ)
インテル日本法人が、ディスクリートGPU「Arc Aシリーズ」の特徴や事業展開などについて説明。GPUアーキテクチャ「Xe HPG」の他、CPUや内蔵GPUと連携して電力消費を抑え、性能向上も可能にする機能「Deep Link」などについて紹介した。
最新コーデック「AV1」にハードウェアベースで初対応
Arc Aシリーズではこの他にも、PCの表示品質を高める機能として「Xe Media Engine」と「Xe Display Engine」を搭載している。
Xe Media Engineは、VP9やAVC(H.264)、HEVCなどこれまでインテルの統合GPUでもサポートしてきた映像コーデックに対応しているだけでなく、今回はGPUベンダーとして初めて「AV1」にハードウェアベースで対応した。AV1は、AVC比で50%、HEVC比で20%効率がいいとされており、4Kや8Kの映像データを扱うのに最適である。Xe Media EngineによりAV1のエンコードは、ソフトウェアで行うのと比べて50倍高速になるという。
Xe Display Engineについては、HDMI 2.0bやDisplayPort 2.0 UHBR10など市場で利用されているモニターのインタフェースに対応し、フルHD×360Hz、4K×120HzHDRを4画面などの形で利用できる。複数フレームの画像が描画されて画面表示がずれたように見えるティアリングに対応する画面同期機能については、これまで提供してきた「Speed Sync」の他、ティアリングの境界線の付近をあえてぼかす「Smooth Sync」を新たに提供する。
チップは「ACM-G10」と「ACM-G11」の2種類を製造
Arc Aシリーズのチップは、ハイエンド向けの「ACM-G10」とローエンド向けの「ACM-G11」の2種類が製造される。ACM-G10は、Xe-coreのコア数、レイトレーシングユニット数が32、L2キャッシュが16MB、GDDR6のメモリバス幅が256ビット、対応するPCIe Gen4インタフェースが16x。ACM-G11は、Xe-coreのコア数、レイトレーシングユニット数が8、L2キャッシュが4MB、GDDR6のメモリバス幅が64ビット、対応するPCIe Gen4インタフェースが8xとなっている。Xe Media EngineとXe Display Engineの機能は同じだ。
Arc 3では、ACM-G11のXeコアを2コア無効化して6コアとした「A350M」と、無効化せず8コアを全て使う「A370M」がある。Arc 7ではACM-G10をフルで使う「A770M」と24コア仕様の「A730M」、Arc 5では16コア仕様の「A550M」を展開する。今回、ノートPCに搭載されるのはArc 3である。既にArcの搭載を明らかにしているサムスン電子の「Galaxy Book2 Pro」がArc 3を搭載するとみられる。一方、Arc 5とArc 7については2022年初夏の出荷開始を予定している。
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