スマート工場化の効果を経営陣にどう示すべきか:いまさら聞けないスマートファクトリー(17)(3/3 ページ)
成果が出ないスマートファクトリーの課題を掘り下げ、より多くの製造業が成果を得られるようにするために、考え方を整理し分かりやすく紹介する本連載。第17回では、スマートファクトリー化でよく課題だと挙げられる「経営陣の巻き込み」について紹介します。
“小さい成果”を積み上げる
なるほど、まずはやっぱり目的の共有というところですね。専務に理解してもらえたように、話をするようにしてみます。その他にもポイントはありますか。
ありきたりだけど、“小さな成果”を積み上げていくということね。スマートファクトリー化による効果は工場の環境が個々に異なるから実証が大事になるのだけれど、“PoCの壁”でも指摘したけれど、実際の環境でどのような成果を出せるかというのが重要よ。だから、小さくてもよいから成果を示すことができれば、説得力を生むことができるわ。これは経営陣に対してのことだけではなく、他の部門などに対しても有効ね。
確かにそうですね。その成果は、先ほどの目的に沿ったものとして示すということですね。
そうそう。将来的にはこういう絵を描いていて、そこと現在地ではこういうギャップがあり、それを埋める第一歩として現場でこういう取り組みをして成果を生みましたというロジックを示すの。そういう意味では、将来ビジョンに沿って水平展開などの拡張できる形でスモールスタートをするということがポイントかしら。
なるほど。個々の実証の成果を示しても、あまり反応が良くなかったのは、そこが伝わっていなかったからなんですね。将来の全体像の実現に必要なものとしてこうした1つ1つの“小さい成果”の位置付けを示して説明していくことが重要ですね。今までの取り組みをあらためてその視点でまとめ直してみます。
おお、対策が見えたみたいね。頑張ってね。
「スモールスタートが小さいまま終わる」という話は、スマートファクトリー化の取り組みの中で非常によく聞く話です。そういう場合は、全体のビジョンと照らし合わせ、将来的にどこに位置付けられる“小さな成果”なのかを考えてみることが重要です。「スモール」から「ビッグ」になった場合、どういう効果があるのかを示すことができれば「費用対効果」の説明などにも役立ちます。また、スモールスタートの始め方もこうした将来性を意識して構築していくべきだと考えます。これらの一連のつながりを示しながら説明していくことができれば、経営陣の理解の醸成にもつながりますし「経営の巻き込み」も進むと考えています。
さて、今回はスマートファクトリー化で悩みとして語られる「経営陣の巻き込み」について取り上げました。次回もタイムリーなトピックについて掘り下げたいと考えています。
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