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PFUがミドルレンジの組み込みコンピュータを投入、まずはヘルスケア市場から組み込み開発ニュース

PFUが組み込みコンピュータ製品の新シリーズとなる「GRシリーズ」を発表。FA分野などで広く用いられているハイエンドの組み込みコンピュータ「ARシリーズ」の機能を継承したミドルレンジの組み込みコンピュータとなる。GRシリーズの第1弾として、ヘルスケア市場向けに開発した小型スリムタイプの「GR8100モデル300N」の受注も始める。

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 PFUは2022年3月15日、組み込みコンピュータ製品の新シリーズとなる「GRシリーズ」を発表した。FA分野などで広く用いられているハイエンドの組み込みコンピュータ「ARシリーズ」の機能を継承したミドルレンジの組み込みコンピュータとなる。GRシリーズの第1弾として、ヘルスケア市場向けに開発した小型スリムタイプの「GR8100モデル300N」の受注を同日から始める。出荷開始は2022年9月の予定。GR8100モデル300Nとして、今後3年間で1万5000台の販売を見込む。

「GRシリーズ」の第1弾となるヘルスケア市場向けの小型スリムタイプ「GR8100モデル300N」
「GRシリーズ」の第1弾となるヘルスケア市場向けの小型スリムタイプ「GR8100モデル300N」。左から、標準色のステンレス、カラーバリエーションとなる白、黒、シルバー[クリックで拡大] 出所:PFU

 GRシリーズは「24時間連続稼働」「長期供給・長期保守」という組み込みコンピュータに求められる機能を備えている。半導体製造装置や工作機械などのFA分野でミッションクリティカルかつ“止まってはいけない製品”に用いられているARシリーズに対して、非ミッションクリティカルだが“止まってほしくない製品”のニーズに対応すべく、産業用の業務高信頼コンピュータとして開発したのがGRシリーズの位置付けとなる。

 まず「24時間連続稼働」では、一般的なPCが1日8時間程度の仕様を前提としているのに対し、24時間/365日の連続稼働を保守期間である5年間行えるように、ARシリーズと同等の設計を採用した。連続稼働対応のストレージや、冷却ファンやアルミ電解コンデンサーなど超寿命部品を採用するとともに、内部温度を抑える冷却設計を行っている。

「24時間連続稼働」のイメージ
「24時間連続稼働」のイメージ[クリックで拡大] 出所:PFU

 また、オプションでPFUが独自開発したソフトウェアRAIDを選択でき、ストレージの冗長化による故障時の継続運用や、自動復旧、高速リビルドなどの機能で保守回数の削減に役立てられる。ソフトウェアRAID機能を選択した場合、本体前面から簡単にストレージを交換できるホットスワップ機能も装備される。

 「長期供給・長期保守」では、組み込みコンピュータに求められる5年間の長期保守を提供する他、5年間の製品供給も保証している。頻繁にモデルチェンジを行う汎用PCを装置や設備に組み込む場合、そのモデルチェンジに合わせて開発や検証を行う必要があるが、GR8100モデル300Nは、モデルチェンジすることなく5年間の製品供給を保証しているので、汎用PCのモデルチェンジに付随する開発や検証の作業が不要になる。OSは、長期供給可能な「Windows 10 IoT Enterprise 2019 LTSC 64bit版」をサポートしている。

「長期供給・長期保守」のイメージ
「長期供給・長期保守」のイメージ[クリックで拡大] 出所:PFU

 ハイエンドのARシリーズに対して、ミドルレンジに位置付けるGRシリーズは価格も安価になっている。これは、ミッションクリティカル向けのARシリーズで提供しているさまざまな付加サービスを、非ミッションクリティカル向けのGRシリーズでは提供しないためだ。PFUは組み込みコンピュータの価格は非公表としているが「同じCPUを搭載するARシリーズとGRシリーズでは、GRシリーズの方がお求め安くなる」(PFU)としている。

縦置き時の幅は90mmを下回る87mmと業界最小クラスを実現

 ここまで紹介した「24時間連続稼働」「長期供給・長期保守」は、GRシリーズに共通する機能だが、GR8100モデル300Nはヘルスケア市場向けの特徴も多数備えている。

 まず、装置や設備に組み込みやすいよう小型のスリムサイズを実現しつつ、拡張性も両立した点が挙げられる。外形寸法は、87×320×300mmで、縦置き時の幅は90mmを下回る87mmと業界最小クラスを実現した。拡張性では、ロープロファイルのPCI Expressカードを3スロット搭載可能であり、省スペース環境でのAI(人工知能)や画像処理、IoT(モノのインターネット)による情報収集などの多様な用途に対応できる。

小型スリムサイズと拡張性の両立
小型スリムサイズと拡張性の両立[クリックで拡大] 出所:PFU

 次に、高精細化が進む医用画像のマルチディスプレイ表示に対応するため、4K(3840×2160画素)出力に対応可能なDisplayPortを2ポート装備した。この他、アナログVGAインタフェースも搭載し、制御用のコンソールを含めると3画面のマルチディスプレイ表示を行える。

高精細化が進む医用画像のマルチディスプレイ表示への対応
高精細化が進む医用画像のマルチディスプレイ表示への対応[クリックで拡大] 出所:PFU

 これらの他、患者への画像の提供、データのバックアップ、医用画像の共通規格であるDICOM情報の授受に用いられているDVDマルチドライブを搭載するオプションも選択できるようになっている。筐体の素材には、衛生面が必要な環境において頻繁にアルコール消毒液で拭き取りを行ってもコンピュータ表面の変色や変形が起こらないステンレスを採用。カラーバリエーションでは、標準のステンレスの他、医療機器の外観色として採用されることの多い白、黒、シルバーを用意している。ヘルスケア市場で求められる、妨害電波のより少ないVCCI Class Bにも対応した。

 GR8100モデル300NのCPUは、Core i5-9500E、Core i3-9500E、Celeron G4900の3種類で、搭載メモリは8GBもしくは16GB。動作温度範囲は5〜40℃。

 なお、PFUは「第25回 組込み/エッジコンピューティング展【春】」(2022年4月6〜8日、東京ビッグサイト)において、GR8100モデル300Nを披露する予定だ。

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