半導体強国復活に向けて日本は何をすべきか、日米連携でポスト3nmプロセス誘致へ:モノづくり最前線レポート(2/2 ページ)
エレクトロニクス製品サプライチェーンの国際展示会「SEMICON Japan 2021 Hybrid」(以下、SEMICON Japan、2021年12月15〜17日、東京ビッグサイト)のオープニングキーノートでは、衆議院議員自由民主党の甘利明氏が「半導体強国復活に向けて」と題して講演した。
ポスト3nmプロセスのファウンドリを誘致
半導体産業におけるミッシングリンクをつなげていくには、日本でもハイエンドロジックのファウンドリを設立する必要がある。目指すべきところは、ポスト3nmであり、2nmや1.5nmまで日本の製造工程や技術がどこまで進められるのかという点が重要になってくる。現状日本国内の半導体工場は40nmクラスの技術が中心だが、その技術力を一気に引き上げることは難しい。そこで「そこで日米連携という手段が浮上してくる。どこと組むかは明らかにはできないが、そこと組んで中堅クラスのファウンドリを作っていきたい」(甘利氏)。
どういう形で連携を実現させ、どういう枠組みで取り組むかもこれからの課題だが、甘利氏は「日米の技術を融合させてハイエンドのファウンドリを作ることが、ミッシングリンクをつなげる重要なピースとなる」と述べている。現在、半導体復活戦略の10年計画を作成しているとし「最終的にハイエンドの半導体が日本からリリースされる状況を生み出せるプランを構築している。この10年間で最低でも官民の投資は7〜10兆円(官5兆円、民5兆円)程度は必要となる。そうした戦略を進めていかないと半導体の国際競争に勝ち抜けない」と甘利氏は今後の方向性について語る。
光電融合デバイスの確立と普及へ
今後の半導体技術を生み出す中で、日本には世界で約6割のシェアがある材料、同じく約3分の1のシェアがある製造装置という強みがある。これをどう組み合わせ、先進半導体開発に貢献していくかが重要になる。
半導体における今後の課題として、使用量が桁違いに増えていくことから電力使用が拡大することが見込まれている。そのため、省電力半導体が次世代半導体として求められる。また、遅延を抑えることも重要だ。現行の半導体でも自動運転に対応できるが、社会全体の自動車が完全に自動運転を実現するには、遅延発生を抑えタイムラグをさらに縮めていかないと事故が発生する。
これらを背景に将来の半導体技術として有望視されているのが、光エレクトロニクス技術(光電融合デバイス)である。光電融合技術を確立し、2030年をめどに社会実装を進める計画だ。「消費電力は100分の1、タイムラグは200分の1程度にする。2050年までには完全に光電融合デバイス化が進む見込みだ。光エレクトロニクス技術はNTTが世界をリードしており、NTTがどこと組んでこれを完成させていくのもこれからの課題となる」(甘利氏)。こうしたタイムラインを描きながら、投資計画を組み時間軸に沿って進めていく方針だ。材料メーカー、半導体製造装置メーカーも一堂に会する場作りなども進めていく。
また、これらの取り組みと同時にサイバーセキュリティを含む安全の問題にも対応していく。米国をはじめオランダ、フランス、ドイツなどとも連携し、情報の漏洩(ろうえい)リスクも含めて経済安全保障上の課題を抑えていく。甘利氏は「サイバーセキュリティの標準的な基準を満たしてしてないことで日本の企業が米国から納入契約を打ち切られたケースもある。技術が高水準だがサイバーセキュリティの問題でビジネスから外されることも生まれている。これは企業だけでなく国でもあり得る。経済安全保障の考え方の下、こうした対応を企業も国も進めていくことが必要だ」と述べている。
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