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協働ロボットの不満を埋める、デンソーウェーブが高速で“簡単に使える”新製品協働ロボット(1/2 ページ)

デンソーウェーブは2022年3月1日、同年4月に発売予定の、高速動作と“使える”簡単さを実現した協働ロボット「COBOTTA PRO」シリーズの詳細について説明会を開催した。

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 デンソーウェーブは2022年3月1日、同年4月に発売予定の、高速動作と“使える”簡単さを実現した協働ロボット「COBOTTA PRO」シリーズの詳細について説明会を開催した。

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協働ロボット「COBOTTA PRO」シリーズによるデモの様子[クリックで拡大] 出所:デンソーウェーブ

協働ロボットの性能はユーザーニーズと不一致な部分があった

 「COBOTTA PRO」シリーズは、製造現場などを含むさまざまな現場で柵なしで人と一緒に働くことができる協働ロボットで「COBOTTA PRO 900」と「COBOTTA PRO 1300」の2機種がある。「COBOTTA PRO 900」は最大リーチ908mm、最大可搬質量6kg、最大TCP(ツールセンターポイント)速度は2100mm/秒、位置繰り返し精度は±0.03mmで、「COBOTTA PRO 1300」は最大リーチ1303mm、最大可搬質量12kg、最大TCP速度2500mm/秒、位置繰り返し精度±0.04mmとなっている。両機種ともに、IP54保護等級クラスの防塵防水性能を持ち、クリーンタイプの場合はClean class 5のクリーン度にも対応する。価格はオープン価格としている。

 ポイントは「本当に使える協働ロボット」を目指した点だ。協働ロボットが市場に普及を始めてから数年がたつが、市場に投入されている製品には共通点がある。例えば、安全に停止できることを前提に設計されているために動作速度が遅く設定されている。また、「簡単化」を追求するために機能を限定しプログラミングをウィザードなどで行うことができ、ダイレクトティーチングなどを使い単純なアプリケーションを作成できる。

 ただ、これらの協働ロボット共通の機能や性能は、必ずしも市場のニーズと合致していない面がある。「協働ロボットは安全性確保のために動作が遅く生産性が低いと見られているが、そもそも『安全』はISO TS15066などリスクアセスメントでは身体領域ごとの力と圧力で制限されるもので、速度を制限する理由にはならない。また、人と協働しないタイミングでは高速で動いても問題はないはずで性能に制限を加える理由にはならない。また、簡単な設定機能で作られる単純なアプリケーションは価値があるものの、ユーザーが使いたいのは単純なアプリケーションだけではない」とデンソーウェーブ ソリューション事業部 FAシステムエンジニアリング部 部長の澤田洋祐氏は述べる。

 そこで、デンソーウェーブでは、ユーザーニーズとの不一致を解消するために、あらためて協働ロボットに求められる性能を再度検討し「高速生産性と安全性の両立」「“使える”簡単」「高難度作業への対応」の3つを重点的に強化した。

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製品開発のポイント[クリックで拡大] 出所:デンソーウェーブ

高速生産性と安全性の両立

 まず高速生産性の実現だが、澤田氏は「従来の協働ロボットは設計面で速度や加速度を上げられなかった」と指摘する。安全性を考慮し軽量化を進める中で、アームの剛性が不足しているために、速度や加速度を上げると動作の正確性や耐久性に影響が出る可能性があった。加えて、人との協働を想定してコンパクト化を優先するあまり、スペースに余裕のない機内配線が多く高速動作をさせると断線のリスクが高まる状況だった。また、協働ロボットで衝突安全を確保するために各軸にはトルクセンサーが採用されているが、このトルクセンサーの剛性不足により、速度を上げると制御の正確性が失われる可能性があった。

 デンソーウェーブではこれらの課題を解決するために、軽量・高剛性でのアームの新規設計を行った他、配線を機内に完全に収めつつその耐久力を高めることに成功した。トルクセンサーについては、軽量と高剛性を両立する新たなものを新規に開発することで、高速動作を行っても制御性能に影響を与えることなく、正確な動作を可能としている。

 これにより、「COBOTTA PRO 1300」では最大TCP速度は2500mm/秒を実現。さらに、高い加速度も実現できるため、サイクルタイムではさらに高いパフォーマンスを実現することが可能だ。「実際の用途をイメージした環境でも、通常の産業用ロボットの前世代モデルと同等レベルの高速作業を実現できる。競合製品との比較でもサイクルタイムでは2倍前後のパフォーマンスを示すことができた」と澤田氏は述べている。

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新たなトルクセンサーを開発[クリックで拡大] 出所:デンソーウェーブ
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