3Dデータを他部門にも共有して全社でうまく活用したい……:テルえもんの3Dモノづくり相談所(9)(3/3 ページ)
連載「テルえもんの3Dモノづくり相談所」では、3Dモノづくりを実践する上で直面する“よくある課題”にフォーカスし、その解決策や必要な考え方などについて、筆者の経験や知見を基に詳しく解説する。第9回のテーマは「3Dデータの共有/活用」についてだ。
3Dデータを正にしたモノづくりへ
今回紹介したビュワーやDMUツールを活用し始めたからといって、すぐに2D図面が不要になるわけではありませんが、徐々に“3Dデータを正にしたモノづくり”へ移行してほしいと筆者は常日頃から願っています。
2D図面を作成するのには多くの労力が必要です。2D図面を作るにしても簡易的なものにとどめ、ビュワーを活用して社内外で3Dデータを確認してデザインレビューを行ったり、さらには製造指示を行ったりなど、3Dデータをフルに活用した効率の良いモノづくりをぜひ実践していきましょう。
また、ビュワーやDMUなどはあくまでもツールです。ツールを導入しただけでは社内での3Dデータ共有はうまくいきません。きちんと社内での運用ルールを決めて、データ管理をしっかりと行い3Dデータを共有し、“脱2次元による3Dモノづくり”を進めていってください。
自社で行っている2D図面での検証やアナログでの検証があれば、それらはビュワーやDMUツールでの検証に置き換えることができるかもしれません。
最近では、VRやAR、MR(複合現実)などの技術を活用した“仮想と現実を融合させた検証”が製造業でも浸透しつつあります。PCのディスプレイ環境で検証する以上に、3Dデータを“よりリアルな環境”で検証できます。
ぜひ、3Dデータを社内全体で活用して、モノを作ってからの不具合発覚と、それに伴う手戻り作業を減らし、品質向上、納期短縮、コスト低減に取り組んでいきましょう。ビュワーやDMUツールを使用することで、2D図面では難しかったことができるようになり、競争力のある、より良いモノづくりの実現へとつながっていくはずです。 (次回へ続く)
筆者プロフィール
テルえもん/本名:小原照記(おばら てるき)
いわてデジタルエンジニア育成センターのセンター長、3次元設計能力検定協会の理事も務める。3D CADを中心とした講習会を小学生から大人まで幅広い世代の人に行い、3Dデータを活用できる人材を増やす活動をしている。また企業の困り事に対し、デジタルツールを使って支援している。人は宝、財産であると考え、時代に対応する、即戦力になれる人財、また、時代を創るプロフェッショナルな人財の育成を目指している。優秀な人財がいるところには、仕事が集まり、人が集まって、より魅力ある街になっていくと考えて地方でもできること、地方だからできることを考えて日々活動している。
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