KDDIと日本工営、ローカル5Gによるスマート工場化実証実験をタイで実施:製造IT導入事例
KDDIと日本工営は2022年1月24日、総務省の「タイ王国工業団地内におけるローカル5Gを活用したアプリケーションの実証実験」を受託し、実施を開始したと発表した。
KDDIと日本工営は2022年1月24日、総務省の「タイ王国工業団地内におけるローカル5Gを活用したアプリケーションの実証実験」を受託し、実施を開始したと発表した。タイ国内にある工業団地内で、5Gを活用した「4K360度カメラによる遠隔作業支援」と「カメラ映像や機械作動音声のAI(人工知能)分析、判断」に関するアプリケーションを提供して、工業団地のスマート化に貢献する。
実証実験ではタイのアマタシティ・チョンブリ工業団地にある、ダイキンの現地法人であるDAIKIN INDUSTRIESの工場内に、3GPPが規定する5G無線装置、通信制御装置の標準仕様と、O-RAN Allianceが規定するO-RAN Specificationに準拠した5G用基地局を3台設置した。KDDIは工場内の機器設置やネットワーク構築を、日本工営は総合建設コンサルタントとしてプロジェクトの全体管理をそれぞれ担当する。実施期間は2022年3月上旬までの予定だ。
「4K360度カメラによる遠隔作業支援」では、4K360度カメラを設置することで現場の設備や構造、作業者の位置や検査方法などを撮影し、映像を5Gで遠隔地にいる監視者に送信する。現場作業者がウェアラブルカメラ端末を装着することで、遠隔の監視者が現場作業者目線の映像を確認できるようになる。現場と遠隔地で双方向コミュニケーションを取りながら作業支援できる環境を構築することで、現場点検者の経験、スキル不足を補いやすくなる。
「カメラ映像や機械作動音声のAI(人工知能)分析、判断」では、機械を常時撮影するカメラの映像データと機械の動作音をマイクで収集した非圧縮音声データを、5Gネットワーク経由でクラウドサーバへと送信する。送信されたデータをクラウド上でAI分析することで、機械の稼働監視や故障予兆を検知する。予防保守によるコスト削減と保守作業の効率化、作業員の負荷軽減が期待できる。
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