ニュース
スイッチング損失を約30%低減した1.7kVフルSiCモジュールを開発:組み込み開発ニュース
日立パワーデバイスは、同社従来品比でスイッチング損失を約30%低減した1.7kVフルSiCモジュールを開発した。独自設計した温度依存性の低いゲート抵抗を採用し、オンオフ動作に伴うスイッチング損失を低減している。
日立パワーデバイスは2021年12月21日、同社従来品比でスイッチング損失を約30%低減した、1.7kVフルSiCモジュール「MSM900GS17CLT」「MSM1350GS17CLT」「MSM1800GS17CLT」を開発したと発表した。2022年1月にサンプル供給を開始する予定だ。
同製品は、焼結銅接合を採用した従来品の設計を見直し、新たに独自設計した温度依存性の低いゲート抵抗を用いた。高速動作性能を向上させることで、オンオフ動作に伴うスイッチング損失を低減している。
サイズは100×140mmで、最高接合温度は175℃。電流定格が900AのMSM900GS17CLT、1350AのMSM1350GS17CLT、1800AのMSM1800GS17CLTの3種をラインアップに揃えた。
鉄道車両のインバーターや、再生可能エネルギー発電システムにおける電力変換器といった用途に適する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- Fin状トレンチ型SiC-MOSFETを製品化、サンプル出荷開始へ
日立パワーデバイスは、Fin状トレンチ型SiC-MOSFET「TED-MOS」を製品化した。2021年3月よりサンプル出荷を開始する。デバイス設計の自由度が向上したほか、耐久性と低消費電力を両立した。 - 独立分社する東芝デバイスカンパニーの成長をけん引するパワー半導体技術の実力
東芝デバイス&ストレージがパワー半導体技術について説明。東芝から独立分社するデバイスカンパニーの成長をけん引することが期待されているパワー半導体事業だが、低耐圧と高耐圧のMOSFETで業界トップの性能を実現しており、次世代パワー半導体として期待されているSiCデバイスやGaNデバイスの開発にも注力している。 - 自動車と民生に注力する三菱電機のパワーデバイス事業、12インチ化も着々
三菱電機が2021〜2025年度の中期経営計画で重点成長事業の一つに位置付けたパワーデバイス事業の戦略を説明。産業、再エネ、電鉄などの分野をベースロードとしながら、今後は自動車と民生の分野に注力し、2020年度の売上高1480億円、営業利益率0.5%から、2025年度に売上高2400億円以上、営業利益率10%以上に引き上げる方針だ。 - シリコンカーバイド(SiC)が電気自動車の普及に拍車
米国の大手半導体製造装置メーカーであるアプライド マテリアルズ(Applied Materials)のブログの抄訳を紹介する本連載。今回のテーマは電気自動車への搭載が進むSiCデバイスだ。 - 昭和電工がSiCエピウエハーをロームに供給、インフィニオンに続いて
昭和電工は、ロームとの間で、パワー半導体向けのSiC(シリコンカーバイド)エピタキシャルウエハー(以下、SiCエピウエハー)に関する複数年にわたる長期供給契約を締結したと発表した。 - インフィニオンが電動車向けSiCパワーデバイスを強化、武器はIGBTからの移行しやすさ
インフィニオンは、EV(電気自動車)向けのSiCパワーデバイスの展開を本格化させる。これまでハイブリッド車(HEV)など電動車向けに100万個以上の出荷実績があるIGBT搭載のモジュール「Hybrid PACK Drive」にSiC搭載版を用意し、自動車メーカーがこれまでと同じフットプリントのままインバーターをアップグレードできるようにする。