ニュース
Fin状トレンチ型SiC-MOSFETを製品化、サンプル出荷開始へ:組み込み開発ニュース
日立パワーデバイスは、Fin状トレンチ型SiC-MOSFET「TED-MOS」を製品化した。2021年3月よりサンプル出荷を開始する。デバイス設計の自由度が向上したほか、耐久性と低消費電力を両立した。
日立パワーデバイスは2021年1月26日、Fin(ひれ)状トレンチ型SiC-MOSFET「TED-MOS」を製品化し、同年3月よりサンプル出荷を開始すると発表した。
同製品は、トレンチにFinを形成し、Finの側壁を電流経路とする構造を採用。耐久性と低消費電力特性を両立するため、電流が集中するデバイス中央部に電圧のかかり方を緩める「電界緩和層」を形成し、電界強度を低減した。また、デバイス中央部の抵抗を低減する「電流拡散層」を形成し、Fin状トレンチの側面につながる電流経路とするデバイス構造を採用している。
短絡耐量と抵抗を独立して最適化できる手法の採用により、セルピッチの縮小と最も低抵抗な電流経路の最適化設計を可能にした。これにより、短絡耐量の20%向上、抵抗の40%低減が可能になった。
関連記事
- 日立オートモティブが800V高電圧インバーターを披露、出力密度は2.7倍に
日立オートモティブシステムズは「第46回東京モーターショー2019」(会期:10月24日〜11月4日、東京ビッグサイト他)において、同社の電動化技術や自動運転システムなどを紹介している。 - デンソーのSiCパワー半導体、新型ミライのFC昇圧コンバータで採用
デンソーは2020年12月10日、SiCパワー半導体を搭載した昇圧用パワーモジュールの量産を開始したと発表した。トヨタ自動車が同年12月9日に全面改良して発売した燃料電池車(FCV)「MIRAI(ミライ)」に搭載されている。 - オン抵抗を40%、スイッチング損失を50%低減したSiC-MOSFETを開発
ロームは、車載パワートレインシステムや産業機器用電源向けに「1200V 第4世代SiC MOSFET」を開発した。短絡耐量時間を短縮せずにオン抵抗を従来品と比較して約40%、スイッチング損失を約50%低減した。 - SiCパワー半導体の回路シミュレーションを高精度化、三菱電機から新SPICEモデル
三菱電機は2020年7月9日、同社が開発したSiCパワー半導体「SiC-MOSFET」のスイッチング速度を高精度でシミュレーション可能な独自のSPICE(Simulation Program with Integrated Circuit Emphasis)モデルを新開発したと発表した。実測とほぼ同等のシミュレーションが可能となり、SiC-MOSFETを搭載したパワーエレクトロニクス機器の回路設計作業を効率化できる、 - ボッシュが300mmウエハー工場に10億ユーロを投資、既存工場でSiCデバイスを生産
Robert Bosch(ボッシュ)は2019年10月8日、SiCパワー半導体向け300mmウエハーを生産するドイツ・ドレスデン工場が2021年末から稼働すると発表した。 - 三菱電機から「世界最高レベル」のトレンチ型SiC-MOSFET、信頼性と量産性も確保
三菱電機は、1500V以上の耐圧性能と、「世界最高レベル」(同社)の素子抵抗率となる1cm2当たり1.84mΩを両立するトレンチ型SiC-MOSFETを開発した。家電や産業用機器、自動車などに用いられるパワーエレクトロニクス機器の小型化や省エネ化に貢献する技術として、2021年度以降の実用化を目指す。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.