造形サイズ拡大や造形時間短縮、対応材料を広げたマイクロスケール3Dプリンタ:3Dプリンタニュース
Boston Micro Fabricationは、3Dプリンタシステム「microArch」10μmシリーズの最新モデル「microArch S240」を発売した。高い造形精度を維持したまま、最大造形サイズを拡大、造形時間を短縮し、対応材料を拡大した。
Boston Micro Fabrication(BMF)は2021年12月27日、3Dプリンタシステム「microArch」10μmシリーズの最新モデル「microArch S240」の販売を開始した。10μmの光学解像度と加工公差±25μmの高精度なスペックを備え、微細構造を正確に造形できる。
microArch S240の最大造形サイズは100×100×75mmで、既存モデル「microArch 140」の94×52×45mmより拡大し、ローラー式膜システムにより造形時間を最大で約50%短縮できる。光源はUV LED(405nm)を採用しており、光学解像度は10μm、積層厚は10〜40μm。ファイル形式はSTLに対応する。
また、200cps以下の低粘度樹脂だけでなく、5000cps以上の高粘度材料や、セラミックおよびナノ粒子を含む機能性複合材料にも対応することで、構造物の耐久性を向上する。
microArch S240は、BMFが独自に開発したプロジェクションマイクロステレオリソグラフィ(PμSL)と呼ばれる3Dプリント技術を採用。紫外線を面単位で照射することで、マイクロスケールの解像度で迅速に光重合する技術で、再現性の高い部品を製造できる。医療器具製造をはじめ、マイクロ流路、MEMS、バイオ、製薬、エレクトロニクスなど幅広い業界における、プロトタイプの開発や最終部品の小ロット生産に適している。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- コロナ禍で生まれた3Dプリンタ活用の流れが、デジタル製造を加速
コロナ禍で、あらためてその価値が再認識された3Dプリンティング/アディティブマニュファクチャリング。ニューノーマルの時代に向け、部品調達先や生産拠点の分散化の流れが加速していく中、サプライチェーンに回復力と柔軟性をもたらす存在として、その活用に大きな期待が寄せられている。2021年以降その動きはさらに加速し、産業界におけるデジタル製造の発展を後押ししていくとみられる。 - 3Dプリンタの可能性を引き上げる材料×構造、メカニカル・メタマテリアルに注目
単なる試作やパーツ製作の範囲を超えたさらなる3Dプリンタ活用のためには、「造形方式」「材料」「構造」の3つの進化が不可欠。これら要素が掛け合わさることで、一体どのようなことが実現可能となるのか。本稿では“材料×構造”の視点から、2020年以降で見えてくるであろう景色を想像してみたい。 - いまさら聞けない 3Dプリンタ入門
「3Dプリンタ」とは何ですか? と人にたずねられたとき、あなたは正しく説明できますか。本稿では、今話題の3Dプリンタについて、誕生の歴史から、種類や方式、取り巻く環境、将来性などを分かりやすく解説します。 - 「単なる試作機器や製造設備で終わらせないためには?」――今、求められる3Dプリンタの真価と進化
作られるモノ(対象)のイメージを変えないまま、従来通り、試作機器や製造設備として使っているだけでは、3Dプリンタの可能性はこれ以上広がらない。特に“カタチ”のプリントだけでなく、ITとも連動する“機能”のプリントへ歩みを進めなければ先はない。3Dプリンタブームが落ち着きを見せ、一般消費者も過度な期待から冷静な目で今後の動向を見守っている。こうした現状の中、慶應義塾大学 環境情報学部 准教授の田中浩也氏は、3Dプリンタ/3Dデータの新たな利活用に向けた、次なる取り組みを着々と始めている。 - 3Dプリンティングの未来は明るい、今こそデジタル製造の世界へ踏み出すとき
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響により、サプライチェーンが断絶し、生産調整や工場の稼働停止、一斉休業を余儀なくされた企業も少なくない。こうした中、サプライチェーンに回復力と柔軟性をもたらす存在として、あらためて3Dプリンタの価値に注目が集まっている。HP 3Dプリンティング事業 アジア・パシフィックの責任者であるアレックス・ルミエール(Alex Lalumiere)氏と、日本HP 3Dプリンティング事業部 事業部長の秋山仁氏に話を聞いた。 - 絶対に押さえておきたい、3Dプリンタ活用に欠かせない3Dデータ作成のポイント
3Dプリンタや3Dスキャナ、3D CADやCGツールなど、より手軽に安価に利用できるようになってきたデジタルファブリケーション技術に着目し、本格的な設計業務の中で、これらをどのように活用すべきかを提示する連載。第4回は、3Dプリンタを活用する上で欠かせない「3Dデータ」に着目し、3Dデータ作成の注意点や知っておきたい基礎知識について解説する。