マイクロスケール3DプリンタでCOVID-19検査用の高精細モデルを作製:3Dプリンタニュース
カリフォルニア大学バークレー校が、BMFのマイクロスケール3Dプリンティングシステムを用いて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査用のモデルを作製した。3Dプリンタ「microArch S140」によって50μmのチャンネル造形に成功し、同一モデルに8本のチャンネルを収めることができた。
BMF Japanは2021年9月6日、米国カリフォルニア大学バークレー校の学生が、3Dプリンタを用いて新型コロナウイルス感染症(COVID-19)検査用のモデルを作製したと発表した。同校のクリストス・アダモプロス氏とアスマイシン・ガリア氏が、COVID-19の抑制研究に使用する多重計測マイクロ流体装置の製作に、BMFのマイクロスケール3Dプリンティングシステム「microArch S140」を活用した。
多重計測マイクロ流体装置は、1つのチップでさまざまな種類の検査ができる。あるマイクロ流路には抗体を流し、他の流路にはウイルスRNAの検出を割り当てるなどの対応が可能だ。さらに、LOC(ラボ・オン・チップ)技術を用いた自動化とハイスループットスクリーニングにより、ウイルスの診断に必要な検査をサポートできる。
同校では、紫外線などの光を利用してパターンを転写するフォトリソグラフィーで型を製造していたが、複雑なアライメントステップや多重露光などの問題があった。両氏は、10μmの光学解像度で高精細なモデルを造形できるBMFのマイクロスケール3Dプリンティングシステム「microArch S140」を使用し、いくつかのテストパーツを作製。その結果、50μmのチャンネル造形に成功し、同一モデルに8本のチャンネルを収めることができた。
現状のマイクロ流体多重デバイスは100μmのチャンネルのため、小さなチャンネルをより多く製作できたことになる。また、積層する各層を正確に配置でき、労力を増やすことなく、より複雑なデバイスの製作が可能になる。両氏は、1つのチップに20本のチャンネル搭載も可能だとしている。
こうした設計自由度に加え、フォトリソグラフィーでは必要な型を得るために1週間以上かかっていた工程を数日に短縮した。両氏は、既製のフォトニクスとエレクトロニクスによりマイクロ流路をカスタマイズすることで、1チップ当たりのコスト削減、より迅速で低コストな設計の繰り返しをサポートするとしている。
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