13.56MHzの高周波数で駆動、ウェアラブルデバイス向け伸縮性ダイオードを開発:医療機器ニュース
慶應義塾大学は、柔らかく伸び縮みする半導体デバイスを、高周波数で駆動させることに成功した。非接触の交通カードでも利用される13.56MHzという高周波数を達成しており、従来の伸縮性半導体デバイスの約10万倍の性能向上となる。
慶應義塾大学は2021年12月9日、柔らかく伸び縮みする半導体デバイスを、非接触の交通カードでも利用される13.56MHzという高周波数で駆動させることに成功したと発表した。従来の伸縮性半導体デバイスの動作周波数に比べ、約10万倍の性能向上となる。
この高周波伸縮性ダイオードは、生体のような柔らかさを持ちながら、最新の半導体材料とほぼ同じ電気特性を持つ伸縮性半導体材料を活用する。13.56MHzという高周波数で動作し、元の長さの1.5倍まで伸ばしても高い電気特性を維持できる。
伸縮性半導体材料を用いた従来の伸縮性半導体デバイスは、駆動周波数が100Hz程度だった。今回、高い電気特性と伸縮性を実現するため、さまざまな電子材料を新しく設計したことで、高周波数での駆動を可能にした。
また、次世代のウェアラブルデバイスのプロトタイプとして、伸縮性センサーの信号を伸縮性ディスプレイに表示するシステムを開発。高周波伸縮性ダイオードを用いて、センサー、ディスプレイ、アンテナを集積した。衣類に組み込んだアンテナからワイヤレスで給電し、センサーの信号をリアルタイムで色変化としてディスプレイ上に表示する。
現在のウェアラブルデバイスは、指輪型や腕時計型が一般的だが、次世代型として薄いゴムシートのように皮膚に貼り付けられるデバイスが期待されている。高周波伸縮性ダイオードは高周波で動作し、伸縮性に優れるため、今後、ウェアラブルデバイス全体の性能向上が見込まれる。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 医療用ウェアラブル機器向けに、柔軟なCNTシリコーンゴム複合材料を開発
産業技術総合研究所と日本ゼオンは、単層カーボンナノチューブ(CNT)をシリコーンゴムに高分散させることで高導電性を持たせ、柔軟で耐久性に優れたCNTシリコーンゴム複合材料を開発した。 - 首に装着して体を冷却または加熱するウェアラブル装置の新モデル
富士通ゼネラルは、首に装着することで、体を効率良く冷却または加熱するウェアラブル装置の新モデル「Cómodo gear i2」の提供を開始する。前モデルに比べて軽量、小型化し、冷却および加熱効果も向上している。 - 汗で発電する高出力のウェアラブル乳酸バイオ燃料電池アレイを開発
東京理科大学は、和紙を基板材料とする薄膜型ウェアラブル乳酸バイオ燃料電池アレイを共同開発した。汗中の乳酸で発電し、高出力が得られることから、汗中物質の濃度をモニタリングするウェアラブルデバイスの実用化に貢献する。 - ウェアラブルデバイスの開発期間を短縮する、腕時計型リファレンスデザイン
Maxim Integrated Productsは、ヘルスケア関連のウェアラブルデバイス開発を最低6カ月短縮できる、腕時計型リファレンスデザイン「Health Sensor Platform 3.0」を発表した。 - ウェアラブル血圧計を使った調査で、日中の血圧変動に個人差があることを確認
オムロン ヘルスケアは、ウェアラブル血圧計「HeartGuide HCR-6900T」シリーズを用いて社員30人を対象に実施した、日中の血圧変動に関する社内調査の結果を発表した。血圧変動のパターンには、個人差があることを明らかにした。