シスコの5Gオープンラボがミリ波とsub6の商用免許取得、5Gの価値創出を加速:製造ITニュース(2/2 ページ)
シスコシステムズは2021年12月15日、同社が2020年11月に開設した、E2Eの5G通信ネットワークアーキテクチャを利用できるオープンラボ「5Gショーケース」について、最新状況などを解説する説明会を開催した。これと併せて、シスコが現在実施中のカーボンニュートラル実現に向けた取り組みなども紹介した。
環境負荷低減を目指す取り組みも進む
5Gショーケースでは、シスコが手掛ける5G関連製品の研究開発も紹介する。シスコ 執行役員 サービスプロバイダーアーキテクチャ事業担当の高橋敦氏はその中から、環境負荷低減に貢献する事例を取り上げて解説した。
高橋氏はまず、チップアーキテクチャである「Cisco Silicon One(以下、Silicon One)」における技術革新を取り上げた。Silicon Oneは従来のチップ製品からシリコン設計を見直すことで、スイッチング性能や低消費電力化、バッファリング向上などを実現している。
これによって最新のSilicon Oneを搭載したルーター「Cisco 8201-32FH」では、同社が5〜6年前に発売したルーターと比べて1ラック当たりの帯域が約77倍、消費電力が約38分の1程度にまで抑えられている。またルーターのサイズは約48分の1、重量も約64分の1となっており、「製品輸送時のCO2排出量低減にも貢献する」(高橋氏)という。
次に高橋氏は、トランスポンダの小型化を取り上げた。従来のネットワークモデルでは伝送装置が垂直統合されており、サービスを展開するごとに重厚長大な伝送装置を配備する必要があった。現在ではコストの高さと技術革新の遅さからディスアグリゲーションが進んでおり、その結果、「電力消費の大きいトランスポンダを小型化してルーターに搭載できるようになり、省電力化と省スペース化を実現できている」(高橋氏)とする。
最後に高橋氏は、マルチレイヤーアーキテクチャ「Routed Optical Network」への移行に向けた取り組みを取り挙げた。Routed Optical Networkは旧来の大規模ネットワークの課題であった冗長性や高コストを解決するために、IPレイヤーと伝送レイヤーを統合したフラットでシンプルなネットワークである。ネットワークシステム全体の装置点数削減や、IPオプティカルの技術とE2EのIP化による自動化の適用しやすさ向上といった効果が期待できる。これらは消費電力削減や省スペース化、オペレーション削減などにもつながり得る。
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