2D図面の“一義性”を考える【その5】大きさを定義する寸法(サイズ)の記入:3D CADとJIS製図(7)(3/4 ページ)
連載「3D CADとJIS製図の基礎」では、“3D CAD運用が当たり前になりつつある今、どのように設計力を高めていけばよいのか”をテーマに、JIS製図を意識した正しい設計/製図力に基づく3D CAD活用について解説する。第7回は、前回の続きとして、断面図を描く上での注意事項を紹介するとともに、寸法(サイズ)記入の方法を詳しく取り上げる。
それでは、寸法記入の解説を進めていきます。
JISには「寸法補助線」「寸法線」「寸法値」の規定が記述されていますが、以下、筆者の解釈を交えながらできるだけ分かりやすく説明していきたいと思います。
2.1.寸法補助線の記入
寸法は、寸法補助線を用いて寸法線を記入します。そして、この寸法線の上側に寸法数値を指示します(図5)。なお、寸法補助線を引き出すことで図が紛らわしくなる場合には、この限りではありません。
寸法補助線は、指示する寸法の端に当たる図形上の点または線の中心を通り、寸法線に対して直角に、寸法線をわずかに超える位置まで延長して引きます。寸法補助線と図形との間はわずかであれば離してもよいですが、一葉図(1つの部品または組立品1枚の製図用紙に描いた図面)または多葉図(1つの部品または組立品を2枚以上の製図用紙に描いた図面)の中で統一して描かなければなりません(図5)(図6)。
寸法を指示する点または線の位置を明確にする際、寸法線に対して直角に寸法補助線を描くとかえって分かりにくくなることがあります。この場合、寸法線に対して適切な角度をもつ互いに平行な寸法補助線を引いて対処しますが、このときの角度は60度がよいとされています(図7)。
傾斜する2つの面の間に面取りやフィレット(R)を施したとき、寸法の端の位置が不明瞭であれば、2つの面の交わる位置を面取りやフィレットを施す前の形状として細い実線で表し、その交点から寸法補助線を引き出します。なお、交点を明確に示す必要がある場合には、それぞれの線を互いに交差させるか、交点に黒丸を付けます(図8)。
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