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2D図面の“一義性”を考える【その5】大きさを定義する寸法(サイズ)の記入3D CADとJIS製図(7)(2/4 ページ)

連載「3D CADとJIS製図の基礎」では、“3D CAD運用が当たり前になりつつある今、どのように設計力を高めていけばよいのか”をテーマに、JIS製図を意識した正しい設計/製図力に基づく3D CAD活用について解説する。第7回は、前回の続きとして、断面図を描く上での注意事項を紹介するとともに、寸法(サイズ)記入の方法を詳しく取り上げる。

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2.寸法線

 これまで、2D図面の図形の描き方について解説してきましたが、寸法を入れなければ大きさを定量的に示すことができません。これもまた図面の一義性を示す大切な要素となります。

 さて、この「寸法」という用語はなじみ深いものですが、JISの改訂に伴って「サイズ」と呼ぶことに変更されています。

(※JIS B 0420-1:2016より抜粋/編集)

製品の幾何特性仕様(GPS)−寸法の公差表示方式−第1部:長さに関わるサイズ
Geometrical product specifications(GPS)−Dimensional tolerancing−Part 1:Linear sizes

 「JIS B 0420-1」は2016年に改訂されています。ここには適用範囲として、

この規格は“円筒”および“相対する平行二平面”の2つのサイズ形体の長さに関わるサイズに対する標準指定演算子ならびに特別指定演算子について規定する。また、これらの長さに関わるサイズのための指定条件およびその図示方法について規定する

と記載されています。国際規格への準拠が行われる中で、このような呼び方に変わったわけなので、私たち設計者もこれにならうべきです。

 「寸法線」については、「JIS B 001:2019」の11項に次のように記載されています。

11 寸法記入方法(※JIS B 0001:2019 機械製図より抜粋/編集)
11.1 一般事項
 一般事項は、次による。

  • a)対象物の機能、製作、組み立てなどを考えて、図面に必要不可欠な寸法を明瞭に指示する
  • b)対象物の大きさ、姿勢および位置を最も明確に表すために必要で十分な寸法を記入する
  • c)寸法は、寸法線、寸法補助線≫、寸法補助記号などを用いて、寸法数値によって示す
  • d)寸法は、なるべく主投影図に集中して指示する
  • e)図面には、特に明示しない限り、その図面に図示した対象物の仕上がり寸法を示す
  • f)寸法は、なるべく計算して求める必要がないように記入する
  • g)加工または組み立ての際に、基準とする形体がある場合には、その形体を基にして寸法を記入する
  • h)寸法は、なるべく工程ごとに配列を分けて記入する
  • i)関連する寸法は、なるべく1カ所にまとめて記入する
  • j)寸法は、重複記入を避ける。ただし、一品多葉図で、重複寸法を記入した方が図の理解を容易にする場合には、寸法の重複記入をしてもよい
  • k)円弧の部分の寸法は、円弧が180度までは半径で表し、それを超える場合には直径で表す。ただし、円弧が180度以内であっても、機能上または加工上、特に直径の寸法を必要とするものに対しては、直径の寸法を記入する
  • l)機能上(互換性を含む)必要な寸法には、JIS Z 8318によって寸法の許容限界または許容限界サイズ(JIS B 0401-1参照)を指示する。ただし、理論的に正確な寸法および参考寸法を除く。なお、寸法の許容限界または許容限界サイズの指示がない場合には、個々に規定する普通公差を適用する。その場合、適用する規格番号および等級記号または数値を表題欄の中またはその付近に一括指示する
  • m)寸法のうち、理論的に正確な寸法については寸法数値を長方形の枠で囲み、参考寸法については寸法数値にかっこを付ける。なお、参考寸法は、検証の対象としない

 本連載の中で触れてきた「主投影図(正面図)」についても項目d)に記述があります。CAD業務に慣れ切ってしまうと、このような規定があることを忘れがちです。しかし、3D図面や最近よく耳にする「3DAモデル(3D Annotated Model)」(※注1)を作製する上でも、寸法記入の方法について再認識しておく必要があります。なお、「サイズ」といったり、「寸法」といったりしますが、長さの定義を「サイズ」と呼び、それを図面に描く上での製図用語としては「寸法」「寸法値」と呼ぶのだと筆者は解釈しています。

※注1:3D CADを用いて作成した3次元の形状モデルに、構造特性(寸法、注記、数量など)を加えたモデルのことを「3DAモデル」と呼ぶ。

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