検索
ニュース

東芝がインフラサービスとデバイスを独立分社「解体ではなく未来に向けた進化」製造マネジメントニュース(2/3 ページ)

東芝が、インフラサービスとデバイスの事業を分離独立し、3つの独立会社に分割する方針を説明。東芝本体には東芝テックとキオクシアを残し、エネルギーシステムやインフラシステムなどをインフラサービスカンパニーに、半導体とHDDなどのデバイス系の事業をデバイスカンパニーに移管。2023年度下期を目標に2社の分離独立と上場を完了させる。

Share
Tweet
LINE
Hatena

インフラサービスはデジタル活用、デバイスは300mmラインに投資

 インフラサービスカンパニーは「エネルギー×デジタル」「インフラ×デジタル」といった形でデジタル技術を活用し、近年東芝が進めてきたCPS(サイバーフィジカルシステム)ビジネスへの転換を推進する。これによって国内トップクラスの地位を確立し、アジアを中心にシェア拡大を目指す方針だ。2023年度には売上高2兆2300億円、営業利益1150億円、ROIC(投下資本利益率)10%を目指す。2021〜2023年度の資源投入額は、設備投資が2160億円、研究開発費が2320億円、投融資が350億円で、合計4830億円となる。

インフラサービスカンパニーの基本戦略
インフラサービスカンパニーの基本戦略[クリックで拡大] 出所:東芝
インフラサービスカンパニーの事業計画インフラサービスカンパニーの資源投入計画 インフラサービスカンパニーの事業計画(左)と資源投入計画(右)[クリックで拡大] 出所:東芝

 デバイスカンパニーは、パワー半導体で300mmウエハーラインの構築や、次世代デバイスであるSiC(炭化シリコン)やGaN(窒化ガリウム)の技術開発に注力し、ニアラインHDDで大容量製品の開発を加速するなどして、それぞれ年率10%以上の成長を確保する。2023年度には売上高8800億円、営業利益540億円、ROIC(投下資本利益率)18%を目指す。2021〜2023年度の資源投入額は、設備投資が1880億円、研究開発費が1530億円で、合計3410億円。中でも、300mmウエハーラインへの投資は2021〜2022年度で760億円を計上し、2024年度から利益貢献するとしている。

パワー半導体ニアラインHDD デバイスカンパニーの注力領域。パワー半導体(左)とニアラインHDD(右)[クリックで拡大] 出所:東芝
デバイスカンパニーの事業計画デバイスカンパニーの資源投入計画 デバイスカンパニーの事業計画(左)と資源投入計画(右)[クリックで拡大] 出所:東芝

 東芝グループとしては、2023年度の売上高は2021年度比4.5%増の3兆5000億円、営業利益は17.6%増の2000億円、ROICは10%となる見通しだ。

東芝グループの事業計画
東芝グループの事業計画[クリックで拡大] 出所:東芝

 なお、今回の2社の分離独立は、2017年度税制改正大綱で導入された「スピンオフ税制」を利用している。大手国内企業がスピンオフ税制を利用することで、会社分割による資産移転で法人税の支払いが優遇される「適格組織再編」を目指すのは初めての事例だという。スピンオフ税制に基づき、東芝の株主はその持ち株比率に合わせて、分離独立する2社の株式が交付されることになる。東芝本体は、分離独立した2社の株式は保有できず、3社が互いに株式を持ち合うこともない。ただし、これまでの債務は東芝本体に残るので、分離独立する2社は債務のない状態から事業をスタートできる点が大きなメリットになる。スピンオフに伴うコストは2021年度以降に約100億円発生するものの、販管費の削減によって相殺する考えだ。

スピンオフプロセスのタイムライン
スピンオフプロセスのタイムライン[クリックで拡大] 出所:東芝

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る