ニューノーマル新入社員の働く価値観を分析:キャリアニュース
日本能率協会マネジメントセンターが「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2021」の結果を発表した。「新人研修はオンラインが主流だった」と約65%が回答し、「報告、連絡、相談」については、70%が「対面」が効果的と考えていた。
日本能率協会マネジメントセンター(JMAM)は2021年10月27日、「イマドキ新入社員の仕事に対する意識調査2021」の結果を発表した。
同調査は、2020〜2021年に入社した「Z世代」の新入社員と、新入社員の育成に関わる上司、先輩社員を対象とするもので、新入社員1048人と上司、先輩社員の1020人、合わせて2068人から有効回答が寄せられた。
まず、「新人研修」について調べたところ、64.7%が「自分自身が受けた新人研修はオンラインが主流だった」と回答した。また、「あなたは、現在の会社でずっと働き続けたいと思いますか」という質問に対しては、53.5%が「はい」と回答している。
「自分自身の成長」については、54.4%が「無理のない範囲で業務に取り組みたい」と回答。勤め先の企業がテレワークを推進しているかどうかが、今後その企業で働くかどうかに影響を与えるかについては、「はい(影響を与える)」が52.5%だった。
リモートによる新入社員研修が主流だったZ世代の新入社員は、リモートワークの推奨などに力を入れている会社を好む傾向があった。自身の成長においては、無理なく業務に取り組みたいという意識が強く、自分のペース(距離感)を程よく保つことを重要視しているようだ。
続いて、この1年で働くことに不安を感じたかと尋ねたところ、Z世代は71.4%が「不安を感じた」と回答。ミレニアル世代の56.1%、氷河期世代の56.9%、バブル期世代の47.8%と比べて、不安を感じた人が多かった。
他人からの評価が「気になる」と回答したのは、Z世代が77.7%、ミレニアル世代が72.7%、氷河期世代は64.9%、バブル期世代が59.7%となっている。「人生の充実度」については、Z世代で「いま人生が充実している」と回答したのは65.5%で、他の世代と比べて少なかった。
指導育成について、どのように育成してもらうことが効果的だと思うか尋ねたところ、58.7%が「試行錯誤させながら、うまくいかない経験を通じて学ばせる」を選んだ。成長していける指導方法については、「できている点に目を向け、褒めてもらう」が70.0%を占めた。
また、「失敗したくないので、責任ある大きな仕事は任されたくない」と56.7%が回答し、「厳しくされなくても、指導の意図が納得できれば行動改善につながる」と62.1%が回答している。
指導に関しては、Z世代は経験を通じて学びたいが、褒めてもらいたい、納得感のある説明がほしいと考えていることが分かる結果となった。
新入社員の70%が報告、連絡、相談は「対面」が効果的と回答
コミュニケーションに関する質問では、66.0%が「在宅勤務などが増え、直接的なコミュニケーション機会が減ると困る」と考えていた。「報告、連絡、相談」について有効と感じるのは、「対面」が70.3%、「チャットツール」が29.7%だった。
次に、入社年別に「この1年間で、コミュニケーションがとりづらいために生じるストレスが増えた」の回答率を見ると、21年入社が72.3%、20年入社が71.7%、19年入社が59.6%となっている。また、20年入社と19年入社で「配属6〜12カ月後に課題や不安に感じたこと」を比べると、最もギャップが大きかったのは「上司、先輩と良い関係が築けない」で、コロナ禍前(2019年)の14位から5位にアップしていた。
仕事環境を見ると、「主な勤務場所は自宅」と41.7%が回答。「仕事環境の心地よさ」を重視するかについては、新入社員は上司や先輩の2.2倍、心地よさを重視していることが分かった。また、「個人裁量」と「チームワーク」では、58.7%が「チームワークを重視する」を選んでいた。
「ポストコロナの働き方」は、54.4%が「できる限り出社」を希望。「在宅勤務やフリーアドレスが進むこと」に関しては、74.9%が「歓迎する」と回答した。また、「ワーケーションの利用意向」はZ世代の71.6%が「利用したい」と回答しており、他の世代と比較して最も高い結果となっている。
同調査を継続的に実施しているJMAMによると、新入社員の特徴は「自分のことを認めてくれる環境で、無理なく、無駄なく成長したい」で、コロナ禍前後で大きな違いはないという。ただ、働く空間や時間について社会全体で変化が生じ、ニューノーマル時代の働き方にシフトチェンジする中、従来の指導方法ではうまくいかなくなる可能性がある。指導する側は新入社員の特徴を理解した上で、成長支援の仕組みを再定義することが求められているとしている。
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