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センサーノード向けに振り切りまくったRTOS「Contiki」が「Contiki-NG」へ進化:リアルタイムOS列伝(16)(4/4 ページ)
IoT(モノのインターネット)市場が拡大する中で、エッジ側の機器制御で重要な役割を果たすことが期待されているリアルタイムOS(RTOS)について解説する本連載。第16回は、センサーノード向けにいろいろと振り切りまくったRTOS「Contiki」とその進化版「Contiki-NG」を紹介する。
2017年に「Contiki」から分岐する形で生まれた「Contiki-NG」
その後は新機能の追加というよりはバグ対策などが改定のメインとなっており、このあたりでContikiも終了かと思っていたら、2017年にこのContikiから分岐する形で生まれたのがContiki-NGである(図8)。特徴は以下の通りだ。
- 高信頼性やセキュリティ対策強化にフォーカスを当てる
- IPv6ベースが基本
- Cortex-M3/M4を含む最新の32ビットMCUがターゲット
- 内部構造をモダンなものに作り替える
- ドキュメントを充実
- アジャイル開発に適したものにするとともに、定期リリースを予定
2017年11月にContiki-NG 4.0がリリースされており、以降もマイナーバージョンアップを重ねている。
- 4.1:2018年5月
- 4.2:2018年11月
- 4.3:2019年5月
- 4.4:2019年10月
- 4.5:2020年5月
- 4.6:2021年11月
- 4.7:2021年7月
定期リリースというにはややスケジュールが乱れている感はあるが、まぁまぁ定期的にリリースされている。32ビットがターゲットという割にはまだMSP430のサポートが継続されているのは、特に省電力向けにニーズが高いということだろう。Cortex-M33などの最新のMCUへの対応も追加されており、新しいRFへの対応なども順次行われている。
いわゆるRTOSと思って使うと落とし穴があるが、センサーネットワークなどに向けた省フットプリントのRTOSがほしい(そしてIPv6ネットワークスタックがほしい)と思った場合に役に立つのがこのContiki-NGというわけだ。
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