既存システムともAPI連携可能、全事業所の電力消費量を可視化するデータ基盤:脱炭素
マクニカは「第1回 脱炭素経営 EXPO 秋」において、工場やビルなどを対象としたクラウド型のエネルギー管理プラットフォーム「Kisense」を展示した。
マクニカは「第1回 脱炭素経営 EXPO 秋」(2021年9月29日〜10月1日、東京ビッグサイト)において、工場やビルなどを対象としたクラウド型のエネルギー管理プラットフォーム「Kisense(キーセンス)」を展示した。API連携によって他システムから電力関連データを取得できる。
全事業所のデータを一元管理
Kisenseを開発したのはポルトガルの企業Cleanwattsである。同社は、電力消費量や電力発電量、蓄電量の見える化に加えて、分散化した電力源を統合的に管理運用できるソリューションの開発に取り組んでいる。
Kisenseを導入することで、センサーを通じて分電盤やPCS(パワーコンディショナー)から電力関連のデータを収集して、クラウドシステム上で一元管理できるようになる。自社工場やビルにおける照明、空調、冷暖房設備の他、機械設備、蓄電池、太陽光パネル、EV(電気自動車)などの電力消費量や発電量、蓄電量などを把握できる。これらのデータは、専用アプリケーションを導入したスマートフォンやPCなどから確認可能だ。
Kisenseによってエネルギーロスを可視化することで、企業全体のランニングコスト削減や環境負荷低減のための取り組みに役立つ。GHGプロトコルで定められたサプライチェーン排出量の内、自社の事業活動に関するスコープ1と2の排出量削減に向けた取り組みを効率的よく推進できるようになる。
また、Kisenseの最大の特徴として、他社製品であるBMS(ビル管理システム)やERPなどのシステムともAPIで連携できる点が挙げられる。製造業では海外拠点だけでなく国内拠点においても、事業所単位で独自のエネルギー管理システムをそれぞれ導入しているケースが少なくない。この場合にもKisenseを導入すれば、全事業所の電力関連データを本社で一元的に確認できる。
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