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工場にIT略語を持ち込むのは間違っているだろうか事例で学ぶ製造業DXセキュリティ対策入門(2)(2/4 ページ)

社内DXセキュリティプロジェクトチームのリーダーに任命された、ABC化学薬品新卒6年目の青井葵。元工場長の変わり者、古井課長の手助けも得て、製造業がDXプロジェクトと併せて進めるべき「DXセキュリティ対策」を推進していく本連載。今回は、現場ヒアリングのために行った工場側との打ち合わせがうまくいかなかった原因を探る。

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工場の人にIT略語の使用は禁物!?

なるほど、これじゃあ、現場のSQDC目標や、5Sルールに影響が出るかもしれないと思って警戒するかもね。


は? エスキューディーシー? ゴエス? 何ですかそれ。


そうなるよねぇ。生技のみんなもこの資料を見て、同じように感じたんだと思うよ。


 笑いをかみ殺している様子の課長を見ていると腹が立ってきた。

いじわるしないで教えてくださいよ。ゴエスどころか、ドエスですね。


お、そんな軽口がいえるなら、少しは元気が出てきたかな。SQDCとは、Safety(安全)、Quality(品質)、Delivery(納期)、Cost(コスト)の頭文字をつないだもので、工場において達成すべき目標のことだ。5Sは、整理、整頓、清掃、清潔、躾(しつけ)のローマ字の頭文字を取ったもので、現場の安全を保つ基本みたいなものだよ。まあ、どちらもわが社の工場現場では常識だけど、本社の人は知らないかもね。


頭文字好きですね……。まあ、それはいいとして、それが私の資料と何が関係あるんですか?


 課長は身を乗り出して資料を私に見せながら、工場ネットワーク図の中の機器アイコンの横の説明を指さした。

ここに書いてあるFWって何?


え、ファイアウォールじゃないですか。通信を許可したり、拒否したりする基本的なセキュリティ機器。そんなのはITおたくの課長でなくてもセキュリティに関わる人ならみんな知ってますよ。


おたくとは光栄なことで。じゃあ、このIPSは?


アイ・ピー・エス(Intrusion Protection System)ですよ。侵入防護システムという名前の通り、外部から不正なアクセスをブロックするネットワークセキュリティ装置ですよね。


工場の人たちに、この表記で分かると思う?


あ、確かにそうですね……。ですが、最初にこの資料はたたき台ですと前置きしましたし、それに打ち合わせでも、誰もこの略語に対して質問してこなかったですよ。


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