コロナ禍がサービスロボットの追い風に!?「関西ロボットワールド2021」レポート:ロボットイベントレポート(3/3 ページ)
サービスロボットや産業用ロボットの開発・導入を促進する専門技術展「関西ロボットワールド2021」がインテックス大阪で開催された。コロナ禍により出展社数も来場者数も従来に比べて少なかったものの、複数のブースで「コロナ禍が、サービスロボットの追い風になっている側面もある」という声があった。
ロボットの移設や段取り替えを容易に行える協働ロボット
JRCのロボットSI事業本部「ALFIS(アルフィス)」は、移動式協働ロボットシステム「Robogie」を初公開した。
中小企業だけでなく大手企業であっても、多品種少量生産の自動化に対応するためにロボットを生産ライン間で簡単に移設したいという要望が増えている。しかし、移設のたびに専任の技術者を呼んでいては、長時間生産ラインが止まってしまうなどの影響が出る。そこで、ロボットの移設や段取り替えを行う際に、簡単なタッチパネル操作であらかじめ登録したロボットの作業内容に変更できる仕様にした。これにより、現場オペレーターやメカに苦手意識のある作業者でも、容易にロボットへの指示を行えるという。
ロボットの移動についても、誰でも確実に行えるような対策が取られている。手押し台車方式でライン間の移動がスムーズにでき、既存の作業台に高精度で接続、固定できるようなシステムを取り入れている。
また、Robogieはロボットのハンドにカメラを搭載しており、CADマッチング方式とAI(人工知能)方式という2つの方式の3Dビジョンシステムから選択することが可能だ。
まず、CADマッチング方式では、3D CADデータを使ってワークの特徴を登録し、位置や向き、姿勢を判断。バラ積みされているワークを個別認識してピックアップを行える。デモでは、半透明なボトルや、光を反射する板金素材の部品など、画像認識が難しいワークをバラ積みした状態からのピッキングを行っていた。
一方、AI方式では、登録なしでバラ積みされているワークをAIが認識し、指定された数のワークのピースピッキングを行う。こちらはCADマッチング方式では認識が難しい、不定形なワークに対応できる。
これら2つの方式から、ユーザーの用途に応じてカメラや3Dビジョンシステムの選定を行う。カメラ認識の必要がない作業の場合は、カメラなしのモデルが選択可能だ。また、これらのシステムはパッケージ化することで製造コストを減らし、ユーザーにとってより安価な運用を可能にしているという。
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