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モビリティでリアルタイム情報収集を実現、AI活用でさらに強力なツールに製造業DXが生む3つの価値(2)(2/2 ページ)

製造業でも多くの関心が寄せられている「DX」。前回連載の「製造業に必要なDX戦略とは」では、製造業におけるDXへの取り組み方を3つ例に挙げて解説した。本連載では、DX基盤を構築したその先で、具体的に「何が実現できるのか」を紹介する。

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モビリティが生む「AIによる予測分析」のインパクト

 では、モビリティの実現に必要なアーキテクチャとは何でしょうか。その答えは「シングルプラットフォーム」です。顧客や商談情報の管理など、全システム、全管理データをシングルプラットフォーム上で運用、一元管理する。さらにクラウド型のプラットフォーム環境であれば、シングルアクセスポイントから必要な全データへとリアルタイムにアクセスすることが可能になります。

 なお現在、製造業では「リアルタイムの情報収集」の先にある、より大きな価値を実現する技術の開発にも注目が集まっています。すなわち、AIによる需要などの予測分析です。リアルタイムな情報収集システムに基づいた予測分析ツールは、企業に大きな価値をもたらします。前節でご紹介したAIの話題、特にマイクロソフトの需要分析向けAI開発の話などは、まさにこうした点につながってきます。


モビリティはAIによる強力な予測分析を実現する

 セールスフォースや、アマゾンウェブサービス(AWS)などのプラットフォーマーは、ここ数年、こぞってAI機能、分析ツールの強化を図ってきました。これはAIの導入がより強力で、有用な予測分析を実現できるからです。自社のプラットフォーム上にエコシステム(ビジネス生態系)を構築して、強力なデータ分析ツールにより、必要な時に必要な判断実行を支援する。プラットフォーマーは現在、こうしたビジネス環境の提供を目指して取り組みを進めています。

ITシステムの「自前主義」から脱却せよ

 最後に国内製造業がモビリティを実現するために持つべき考え方についてお話ししましょう。それはITシステムの自前主義を捨てることです。国内製造業はモノづくりに強いこだわりを持っており、グローバル市場においてそれが優位性になっていることは間違いありません。

 しかし、製品ではなく社内のシステムにまで“こだわる”というのは、少し違和感を覚えます。現場要件を実現するため、スクラッチで開発したERPや、大規模なカスタマイズを施した基幹情報システムは本当に必要なのでしょうか。モビリティの実現についてもそうですが、実際のところ、新たなITシステムを導入するといっても、それは既存の製品とサービスの組み合わせでほぼ実現できます。自前主義の発想を転換した先には、全く新しい世界が広がっているでしょう。

 次回のコラムでは、2つ目のテーマである「ビジネス可視化」についてお話しします。プラットフォーム上の基幹システムとなるクラウドERPを深掘りしていきます。お楽しみにどうぞ。

≫連載「製造業DXが生む3つの価値」の目次

筆者紹介

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栗田 巧(くりた たくみ)
Rootstock Japan株式会社代表取締役

経歴

1995年 マレーシアにてDATA COLLECTION SYSTEMSグループ起業。タイ、日本、中国に現地法人設立

製造業向けERP「ProductionMaster」とMES「InventoryMaster」リリース

2011年 アスプローバとの合弁会社Asprova Asia設立

2017年 DATA COLLECTION SYSTEMSグループをパナソニックグループに売却。パナソニックFSインテグレーションシステムズ(株)代表取締役就任

2020年 Cloud ERPのリーディングカンパニーであるRootstock Japan(株)代表取締役就任


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