2030年までに廃棄ゴム半減へ、豊田合成が短時間のリサイクル工程を確立:工場ニュース
豊田合成は2021年8月19日、ウェザーストリップのリサイクルを推進し、2030年までに廃棄物を2012年度比で50%削減すると発表した。約6000トンの削減を目指す。
豊田合成は2021年8月19日、自動車のドアとボディーの隙間を埋めるシール材であるウェザーストリップのリサイクルを推進し、2030年までに廃棄物を2012年度比で50%削減すると発表した。約6000トンの削減を目指す。
森町工場(静岡県森町)では2021年4月にウェザーストリップのリサイクル工程を専用棟に集約。生産時に発生する廃棄ゴムを再利用する取り組みを強化している。
同工場では、ゴムに弾性を持たせるための分子結合を切断して、原材料として使用できる状態にする「脱硫再生」や、製品強度を高めるために組み込んだ金属を破砕して除去する「金属分離」などを行っている。同社の脱硫再生は、一般的な方法と比べて工程の所要時間が10分間と大幅に短く、高品質な原材料に戻せる点が特徴だという。従来の手法はゴムに薬品をまぶして加熱するが、約5時間を要するだけでなく、ゴムと硫黄化合物の結合が残るため原材料に戻すのが難しかった。この森町工場で導入している技術をグループの工場でも活用し、廃棄物の低減を進める。
リサイクル工程は、廃棄ゴムの破砕と金属とゴムの大まかな分別を行った後、磁石を用いて複数回に分けて金属片や金属粉を回収。その後、微粉化したゴムに対して高速回転するスクリューによって熱を加え続けることで、ゴムと硫黄化合物の結合を選択的に切断する。この工程によって原材料に戻す。その後、脱臭、冷却、裁断を経て、再生ゴムが完成する。
リサイクル以外にも、日常的な改善や新たな工法の開発によって、2050年には廃棄物を2012年度比で1万2000トン削減することを目指す。
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