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光照射により、任意の領域で脳内血流を変化させる技術を開発医療技術ニュース

慶應義塾大学は、光照射によって脳内の任意の領域で血流を自由に増減できる技術を開発した。麻酔なしで自由に動き回るマウスの脳血流を操作し、神経活動と行動にどのような影響を与えるかを確認した。

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 慶應義塾大学は2021年7月28日、光照射によって脳内の任意の領域で血流を自由に増減できる技術を開発したと発表した。この技術により、麻酔なしで自由に動き回るマウスの脳血流を操作し、神経活動と行動に与える影響を確認した。東北大学、実験動物中央研究所、東京大学、新潟大学、電気通信大学との共同研究による成果だ。

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研究のねらい(クリックで拡大) 出典:慶應義塾大学

 今回開発した技術は、光照射を用いるオプトジェネティクスを血管細胞に応用。まず、血管細胞にチャネルロドプシン2(ChR2)または光活性型アデニル酸シクラーゼ(PAC)というタンパク質を発現させる2種類の遺伝子改変マウスを作成した。マウスの脳を光刺激すると、ChR2によって血流が減り、PACによって血流が増加する。

 このマウスを用いて、血流を増減させた際の脳血流の継時的変化とその変化の空間的な広がり方を明らかした。また、同技術は可逆的で繰り返し使用できること、自由に行動しているマウスに適用できることも確認した。

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オプトジェネティクスを用いた血流操作技術(クリックで拡大) 出典:慶應義塾大学

 次に、この技術を用いて、脳血流変化が神経活動やマウスの行動に与える影響を調べた。その結果、光刺激によりマウスの腹側線条体の血流を減少させると、腹側淡蒼球の神経細胞の発火が抑制され、マウスの運動量が減少することが分かった。

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脳血流変化が神経活動やマウスの行動に及ぼす影響の具体例(クリックで拡大) 出典:慶應義塾大学

 オプトジェネティクスによる血流操作は、これまでマウスが自由に動けない状況で実施されていた。同研究の成果は、脳内の任意領域の血流と、その支配下にある神経活動および行動という3つの相互関係を解明する方法論として活用できる。また、さまざまな病態をモデル動物で模倣できれば、その病態の理解や血流に対する治療法開発につながることが期待できる。

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