ニュース
混迷深まる東芝の経営体制、2021年内をめどに再構築へ:製造マネジメントニュース(2/2 ページ)
東芝は、2021年度(2022年3月期)第1四半期(4〜6月期)の連結業績を発表するとともに、前代表執行役社長 CEOの車谷暢昭氏が2021年4月に辞任してから混迷した状況にある同社の経営体制の方向性について、現代表執行役社長 CEOの綱川智氏が説明した。
2021年度第1四半期はコロナ禍の影響から脱して増収増益
東芝の2021年度第1四半期の連結業績は、売上高が前年同期比21%増の7279億円、営業利益が同271億円増の145億円、税引前利益が同328億円増の292億円、当期純利益が同293億円増の180億円となった。前年度同期の業績を大幅に引き下げたコロナ禍の影響から脱し、ほぼ全てのセグメントで増収増益となった。
特に、半導体とHDDを扱うデバイス&ストレージソリューションが好調で、売上高が前年同期比60%増の2009億円、営業利益が同149億円改善の103億円となった。ビルソリューションのうち空調も好調だった。なお、インフラシステムソリューションが前年同期比で減収減益となったが、これは計上タイミングの影響によるものだという。
通期業績予想は2021年5月の発表内容から変更はなく、売上高が前年度比6%増の3兆2500億円、営業利益が同62%増の1700億円、税引前利益が同4%増の1600億円、当期純利益が同3%減の1100億円で据え置いた。新たに東芝 代表執行役専務 CFOに就任した平田政善氏は「国内外における新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染再拡大、半導体不足や素材、輸送費の高騰などのリスク要因によって先行きが不透明な状況にある」と述べている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- 東芝と経産省が一体で“物言う株主”を抑え込み、株主総会運営で公正さ欠く
東芝は、2020年7月31日に開催された第181期定時株主総会の運営に関する調査結果を発表。「議決権集計問題」と「圧力問題」の2件について調査が行われ、圧力問題については東芝の経営陣と経済産業省が一体になって“物言う株主”の抑え込みを行っており「本株主総会が公正に運営されたものとはいえない」と報告した。 - 東芝は綱川体制でも「Nextプラン」堅持、目標値を修正して2021年10月に中計発表
東芝が2020年度(2021年3月期)連結決算を発表するとともに、新たに代表執行役社長 CEOに就任した綱川智氏の体制による今後の経営方針について説明。前CEOの車谷暢昭氏が推進してきた中期経営計画「東芝Nextプラン」のコンセプトは堅持する一方で、環境変化に応じた計画修正を図り、2021年10月発表予定の「22〜24年中期計画」に反映する。 - 東芝の社長に綱川氏が再登板、電撃辞任の車谷氏は「再生ミッションやり切った」
東芝は2021年4月14日、同社 代表執行役社長 CEOの車谷暢昭氏が辞任し、代わって取締役 会長を務める綱川智氏が新たな代表執行役社長 CEOに就任すると発表。同日オンライン会見を行い、辞任の経緯や今後の経営の方向性などについて説明した。 - 東芝のデジタル生産技術は工場の枠を超え「スマートマニュファクチャリング」へ
東芝が同社のデジタル生産技術とそれらを生かした製造業向けIoTソリューション「Meisterシリーズ」について説明。2021年6月15日に発表したインダストリー4.0で標準規格化が進む「アセット管理シェル」に対応する機能を追加したMeisterシリーズのサービスの新バージョンも紹介した。 - 「世界最高の解像度」を持つ「世界最小」のLiDARにつながる東芝の新技術
東芝は2021年6月11日、ソリッドステート式LiDARの小型化と高解像度化につながる受光技術と実装技術を新たに開発したと発表した。2020年7月に同社が発表した「シリコンフォトマルチプライヤー(SiPM)」のさらなる感度向上と小型化を通じて、容積は350ccで解像度は1200×84画素、画角は24×12度のLiDARが開発可能になった。 - 東芝がトリプルゲートIGBTを開発、3つのゲート電極でスイッチング損失を4割削減
東芝は、インバーターやDC-DCコンバーターなどの電力変換器に広く用いられているパワー半導体のIGBTについて、電力のオンとオフが切り替わるスイッチング時の損失を従来比で最大40.5%低減できる「トリプルゲートIGBT」を開発したと発表した。今後、信頼性の確認など実用化に向けた開発を進めて、2023〜2024年に製品化を判断したい考え。