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先行き不透明でも手を打つ、バッテリー工場新設に希望退職、NSX生産終了自動車業界の1週間を振り返る(1/2 ページ)

さて、今週で日系乗用車メーカーの2022年3月期(2021年度)第1四半期(4〜6月)の決算が出そろいました。各社とも、前年同期の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響から回復しており、増収増益です。

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 土曜日です。今週もお疲れさまでした。お盆休みに突入したという方も多いのでしょうか。具合が悪くなるような猛暑が続いています。体調に気を付けてお過ごしください。

 さて、今週で日系乗用車メーカーの2022年3月期(2021年度)第1四半期(4〜6月)の決算が出そろいました。各社とも、前年同期の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響から回復しており、増収増益です。コロナ禍前の水準に届きそう、あるいはそれを超えて回復した会社だけでなく、「過去最高」を達成した会社もありました。

 気になるのは2021年度通期の業績がどうなるか。半導体の供給不足、材料の高騰、COVID-19対策の活動制限など、先行きが不透明な要素は多いです。その中でも、業績見通しを上方修正する自動車メーカーがあります。販売台数の計画を下方修正したにもかかわらず、業績見通しを引き上げた会社も出ています。なお、スズキは原材料の高騰で900億円、研究開発費の増加が438億円の減益要因になると見込み、通期では営業利益がコロナ禍の前年よりも減少すると想定しています。

 販売の環境が不透明な中、各社の業績回復のカギを握るのは収益改善だといえます。2021年度下期は地道な改善活動に一層力が入りそうですね。

決算を発表した日系乗用車メーカー
売上高 (前年同期比) 営業損益 (前年同期比) 当期損益 (前年同期比) 業績予想の修正
トヨタ 79,355 72.5 9,974 - 8,978 -
300,000 10.2 25,000 13.8 23,000 2.4
ホンダ 35,838 68.7 2,432 - 2,225 - 有(上方修正)
154,500 17.3 7,800 18.1 6,700 1.9
日産 20,082 71.0 757 - 1,145 - 有(上方修正)
97,500 24.0 1,500 - 600 -
スズキ 8,453 98.8 544 - 847 - 有(期初は未定としていた)
34,000 7.0 1,700 △12.6 1,500 2.4
マツダ 8,034 113.3 261 - 114 -
34,000 18.0 650 637.0 350 -
スバル 6,351 39.0 295 - 185 -
33,000 16.6 2,000 95.2 1,400 83.0
三菱自 4,319 88.2 106 - 61 - 有(上方修正)
20,800 42.9 400 - 150 -
※業績の上段が2021年4〜6月期の実績、下段は2021年度の通期見通し。金額の単位は億円。前年同期比の増減は%。

見通しにくい環境でも、歩みは止められない

 先行きがいくら不透明でも、将来に向けた種まきの手は緩められません。米国のバイデン政権は、2030年に米国で販売する新車の半数以上を「電動車」にする目標を発表しました。電動車は電気自動車(EV)の他、プラグインハイブリッド車(PHEV)や燃料電池車(FCV)も対象です。HEVさえも禁止にしようとしている欧州と比べると、現実的というか、堅実なのではないかという印象ですね。

 バッテリー工場が世界各地で増えようとしていますが、バッテリーメーカーのエンビジョンAESCジャパンは、茨城県に「国内最大級」(同社)となるリチウムイオン電池工場を設立すると発表しました。国や茨城県から支援を受けながら500億円を投資します。2024年に操業を開始し、年間生産能力は6GWhです。将来的に18GWhまで生産能力を拡大するとしています。

 EVにシフトするに当たって、ホンダが55歳以上の社員を対象に早期退職を募ったという報道も日本経済新聞などから出てきました。応募したのは2000人超で、国内の正社員の5%に相当するそうです。

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