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2035年にHEV禁止? 欧州の電動車推進の行方は自動車業界の1週間を振り返る(1/2 ページ)

毎週のように電動化に関する話題を振り返っていますが、今週も大きなニュースがありました。EUの欧州委員会が気候変動対策案「Fit for 55」を発表。その中に、乗用車と小型商用車のCO2排出基準を厳しくする方針が含まれていました。

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 1週間おつかれさまでした。土曜日ですね。西日本に続き、関東もついに梅雨が終わり、夏の空になりました。暑さは苦手ですが、梅雨のあいまいな天候よりもハッキリしていていいなあと思います。気温に体が慣れるまで、気を付けてお過ごしください。

欧州の電動車はHEVを排除するのか

 さて、毎週のように電動化に関する話題を振り返っていますが、今週も大きなニュースがありました。EUの欧州委員会が気候変動対策(Fit for 55)を発表。その中に、乗用車と小型商用車のCO2排出基準を厳しくする方針が含まれていました。

関連リンク:https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/IP_21_3541

 その新たなCO2排出基準は皆さんご存じの通り、とても高いハードルとなります。2035年1月1日から、乗用車や小型商用車の平均CO2排出量を2021年時点の目標値から100%削減するというものです。どんな形であれ化石燃料を燃やすエンジンを搭載しているクルマではクリアできません。

 EUは2050年に「climate neutral」を達成するため、2030年までに乗用車や小型商用車が排出する温室効果ガスを1990年比で少なくとも55%削減することを目指しています。2030年から2050年までの間に野心的な目標を設定すべきであるとし、2035年の目標が掲げられました。現在の気候・エネルギー関連の法律では温室効果ガスの排出量は2030年までに40%、2050年までに60%しか削減できないと予想されるそうです。


欧州委員会がまとめた自動車メーカーのゼロエミッション車投入計画(クリックして拡大) 出典:欧州委員会

 より厳しくなるCO2排出削減目標は、欧州でのゼロエミッション車普及を後押しするとともに、空気の質の改善や省エネルギー化が消費者に利益をもたらすとしています。また、自動車のバリューチェーンにおけるイノベーションが維持されることを保証するものであると書かれています。道路交通部門が温室効果ガスの排出削減に向けて野心的な行動をとらなければ、脱炭素化のハードルが高い他の部門でより厳しい排出削減が求められるとしています。

ゼロエミッション車導入インセンティブはあと10年?

 個人的に気になったのは、EV(電気自動車)やFCV(燃料電池車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)といった「ZLEV」(ゼロエミッションもしくは低排出ガス車、CO2排出量が50g/km以下のもの)の導入に対するインセンティブを2030年には廃止するべきであるという記述です。各社がゼロエミッション車を市場に多く投入しなければならない中では、インセンティブが本来の目的を果たさない可能性があるため、なのだそうです。ZLEVに対するインセンティブは今後10年間だけになってしまうのでしょうか。

 代替燃料の貢献度の評価については、炭素補正係数やクレジット制度では目標達成に向けた責任があいまいになり、制度上の負担や複雑さが増すとして計算に含めない方針です。代替燃料の利用促進は、再生可能エネルギー指令や排出権取引制度、エネルギー課税指令を通じて行うと書かれていました。

 EVが急速に普及した国やその可能性が高い国、地域では、ガソリンなど燃料による税収減が課題となっていますが、EUでの2030年の燃料税収入の損失は、EUのGDPの約0.01%と推定しているようです。「これらの損失は、加盟国レベルでは、例えば間接税によって相殺することができる。各国の行政機関への追加的な影響はない」と書かれています。

欧州の自動車業界の反応は真っ二つ

 こうした案が実行されれば、自動車業界は今まで以上に電動化を急ぐ必要がありますが、ノリノリなのがフォルクスワーゲン(VW)グループです。VWグループ CEOのHerbert_Diess氏は「準備万端だ」と前向きです。VWグループは欧州委員会の発表の直前に2030年に向けた電動化戦略を発表しています。その中でEVの収益性改善について見通しを示すとともに、エンジン車とEVの収益性は今後2〜3年で同等になると言及しました。

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