低コストでHD映像を伝送できる車載対応のエンコーダーとデコーダーを発売:組み込み開発ニュース
ルネサス エレクトロニクスは、低コストのケーブルやコネクターでHD映像を伝送できるAHL伝送技術を開発した。また、AHLエンコーダー「RAA279971」とAHLデコーダー「RAA279972」を発売した。
ルネサス エレクトロニクスは2021年7月13日、低コストのケーブルやコネクターでHD(ハイビジョン)映像を伝送できるAHL(オートモーティブHDリンク)伝送技術を開発したと発表した。また同日、AHLエンコーダー「RAA279971」およびAHLデコーダー「RAA279972」を発売した。
両製品は、変調アナログ信号を使用して映像を伝送するもので、HD信号をデジタル伝送する場合に比べて必要な伝送レートを10分の1に抑える。そのため、従来のアナログビデオケーブルのツイストペアケーブルや標準的なコネクターを使用できる。ビデオデータと独立して動作する双方向の制御チャンネルを有しており、ビデオ伝送に用いる非シールドツイストペアケーブル(UTP)で同時にカメラを制御できる。
リアビューカメラでデジタルリンクが劣化して信号が弱まると、マクロブロックが表示されて表示領域の大部分が視認できなくなるのに対し、AHLリンクが劣化した際は映像の色やコントラストが変化するものの、全てのピクセルを画面に表示して車両後方の物体や人物を識別できる。
解像度はHD映像で最大1080pおよび30fps、VGA映像では最大720pおよび60fpsとなっており、16:9以外のアスペクト比にも対応できる。
入出力信号処理はMIPI-CSI2やBT656、DVPで、新旧のイメージセンサーに対応する。また、内蔵PLLが高解像度に必要なクロック周波数を生成するため、27MHz水晶クロックのみで動作できる。
なお同社では、両製品と併せて、AHLエンコーダー用の評価ボード「RTKA279971DA2000BU」、AHLデコーダー用の評価ボード「RTKA279972DA1000BU」の提供も開始した。
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