C言語コードの高速化を支援するソフトウェアのβ版を公開:組み込み開発ニュース
オスカーテクノロジーは、C言語コードの高速化を支援するソフトウェア「OSCAR Multicore Suite」のβ版を公開した。β版公開中は、無料で使用できる。
オスカーテクノロジーは2021年7月1日、C言語コードの高速化を支援するソフトウェア「OSCAR Multicore Suite」のβ版を公開したと発表した。β版公開中は無料で使用可能で、β版ユーザーのフィードバックを基に改善を加えた商用版を提供する予定だ。
同ソフトウェアは、「OSCAR Multicore Estimator」「OSCAR Multicore Profiler」「OSCAR Parallel Compiler」と3つの機能を有しており、いずれもC言語で開発したソフトウェアのソースコードを対象としている。条件分岐が多く、ループ処理の少ないプログラムにも適用できる。
OSCAR Multicore Estimatorは並列化用のコード解析機能で、さまざまなコンピューティング環境での実行時間を予測する。マルチコアCPU上での並列動作時の計算も可能で、並列化の可否や計算のボトルネックなどを解析してレポートを出力する。
OSCAR Multicore Profilerは、プログラムの処理時間実測用のサポート機能となる。動的なプロファイルを得るためのコードを自動で挿入し、さまざまな処理時間の計測を支援する。時間測定のオーバーヘッドを最小化すべく、プロファイル取得のコード挿入位置を自動で判定する。
OSCAR Parallel Compilerは自動並列化コンパイラで、シングルスレッド用のソースコードをマルチコア環境に応じたコードに変換する。ループ処理だけでなく、マルチグレイン並列化と称されるタスクレベルでの自動並列化も可能だ。
同ソフトウェアを用いることで、並列化の知識があるエンジニアなしでも開発を進められる。また、プロトタイプ開発や手動での高速化改修の予算がないソフトウェア開発においても、コンピュータの性能を引き出せる。
バイオ分野で顕微鏡画像の加工に用いられるオープンソースソフトウェア「TeraStitcher」に同ソフトを適用したところ、4並列化で3.42倍高速化することが確かめられた。並列化の作業時間は、実行ファイルの生成を含めて約7分となった。
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