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UMLモデルをどうやってC言語に落とし込むかETロボコン2006へと続く道(3)(1/3 ページ)

UMLでモデルを設計しても、実機で性能を追求するならC言語だ。モデルを極力崩さずにC言語に落とし込む実践テクニックを紹介しよう

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はじめに

 ETロボコンは、LEGO MINDSTORMSを使った共通仕様のハードウェアにより、ソフトウェアの分析・設計モデルの優劣と走行性能(タイムトライアル)の2つの側面から競技を行う、組み込みソフトウェアに絞ったユニークなコンテストです。

 一般にロボットコンテストというと、ハードウェアも競技の対象となりますが、ETロボコンではハードウェアは共通で、いわゆるワンメークレースです。ソフトウェアの出来が競技の結果を左右します。

 また、ETロボコンは組み込みソフトウェア開発分野における技術教育にフォーカスしているのも大きな特徴になっています。「組み込みソフトウェア開発分野における若年層および初級エンジニアに対して分析・設計モデリングの教育機会を提供すること」を目的として、大きく以下の2点に重点を置いて開催されています。

  • 若年層および初級組み込みソフトウェア・エンジニアにモノづくりの楽しさを経験する機会を提供し、組込み分野への興味を高める
  • 複雑化する組み込みソフトウェア開発に、モデリングによる分析・設計手法の普及を推進するため、開発成果によるコンペ形式とし、実践教育の機会とする

ETロボコンでの教育

 ETロボコンでは以下の点で技術教育に力を入れています。

(1)参加者への技術研修会の実施

 参加チームに対して、以下の基礎教育を実施しています。

  • 要素技術教育
  • モデリング基礎教育
参加者向け技術研修会の模様(モデリング基礎教育)
写真1 参加者向け技術研修会の模様(モデリング基礎教育)。2006年5月18日、東陽テクニカ テクノロジ・インターフェース・センターにて

(2)本番コースによる試走機会の提供

 コンテスト前に試走会を実施し、本番コースを試走し、走行の確認、技術的な課題の確認などが行えます。

試走会の模様(東京会場 第2回)
写真2 試走会の模様(東京会場 第2回)。2006年6月16日、東陽テクニカ テクノロジ・インターフェース・センターにて

(3)全チームのモデル図を収めたCD-ROMをコンテスト終了後に配布

 コンテスト参加後の教育に生かすための素材として、同一課題(同じハードウェア、同じ要求)に対する、複数チームの成果が得られます。通常、企業内部では、コスト、期間、要員の関係から、同ー要求のソフトウェアを複数チームで開発することはありません。他チームのモデルと比較できるため、良い学習の機会となります。

(4)審査員によるワークショップ

 第一線のモデラーによる審査員からコメントが得られるまたとない機会です。

  • モデル審査内容
  • 走行結果などからの分析、傾向、特筆事項
  • 今後の組み込みモデリングの方向性

(5)メーリングリストによる情報交換

 開発期間中、参加者、実行委員会によるメーリングリストを通じ、情報交換が行えます。

 本記事では、ETロボコンにおける教育の中から、参加者への技術研修会にフォーカスを絞って紹介します。

ETロボコンの技術研修会

 ETロボコンでは技術研修会として、参加チームに対して2日間の基礎教育を実施しています。

要素技術教育
LEGO開発環境の構築(ハンズオンセッション)
UML表記法入門

モデリング技術教育
分析入門
設計・実装入門

 ここでは主に、初めてコンテストに参加するチームを対象に、ETロボコンに即効性のある教育を行っています。

 1日目の要素技術教育では、ソフトウェアを作成するための開発環境をセットアップし、必要なモデル表記法の基礎を習得していただきます。本来であれば、モーターやセンサーの使い方などについて触れたいところですが、実機に触れながら学んでいただくこととして教育の対象から外しています。

 2日目のモデリング技術教育では、分析から設計・実装までの基本的なポイントを習得していただきます。ETロボコンを題材にしているため、特に初めて参加するチームにとってすぐに使える内容になっています。

 なお技術研修会では、「設計・実装入門」「分析入門」の順で行っています。本来の開発の流れと異なりますが、コンテストに合わせて、基本動作を行うパスファインダーの設計・実装のサンプルを先に例示したうえで、分析でのモデリングポイントについてのヒントを与えることで、参加チームがモデリングする際の敷居を下げることを目標としています。

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