ドメインおよびゾーンコントローラー向け32ビット車載用マイコンを発表:組み込み開発ニュース
STマイクロエレクトロニクスは、32ビット車載用マイコン「Stellar SR6」ファミリーを発表した。ドライブトレインやADASなど、ISO 26262 ASIL-Dに準拠する車載用システムの開発を支援する。
STマイクロエレクトロニクスは2021年6月16日(現地時間)、32ビット車載用マイコン「Stellar SR6」ファミリーを発表した。第1弾として、ドメインコントローラー向けの「Stellar SR6 P」シリーズと、ゾーンコントローラー向けの「Stellar SR6 G」シリーズを、ソフトウェア開発用の仮想プラットフォームモデルとともに提供する。量産は2024年から開始する予定だ。
Stellar SR6 PおよびGシリーズは、最大20MバイトのPCM(相変化メモリ)、6つのArm Cortex-R52を搭載し、28nm FD-SOIプロセスを採用している。優れたデータ保持性能を有し、AEC-Q100 Grade 0に準拠する。
NVMとRAM機能を統合した独自のデュアルイメージストレージにより、効率的なOTA(Over-The-Air)更新を可能にする。OTA更新時にはPCMセル構造を2倍に構成することで、メモリサイズを大幅に抑えられる。ロックステップ機能やスプリットロック機能も搭載する。
Arm Cortex-M4、浮動小数点演算ユニット、DSP拡張命令によるセキュリティサブシステム、EVITA(E-safety Vehicle Intrusion Protected Applications)に完全対応したHSM(ハードウェアセキュリティモジュール)、専用暗号化アクセラレーターにより、高いセキュリティを提供する。また、ソフトウェアの分離とリソースアクセス保護のためのハイパーバイザーを装備した。
Stellar SR6 Pシリーズは、次世代のドライブトレイン、電動化ソリューション向けに、ドメインシステムの要件を満たしている。確実なリアルタイム性能により、優れたドライビング体験と安全性をもたらす。
Stellar SR6 Gシリーズは、低消費電力モードと高度なモニタリングサブシステムを搭載し、システムの電力効率を向上する。また、CAN、LIN、イーサネットネットワークを介して、安全にデータの伝送経路を制御できる高効率アクセラレーターを備える。
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