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真空装置内で動くセンサーを開発、プラズマ発光の直接検出と無線送信に成功:組み込み開発ニュース
魁半導体は、滋賀県立大学と共同開発した、真空プラズマ装置内で動作するIoTセンサーを用いて、プラズマ発光状況を直接検出し、無線通信で外部送信することに成功した。プラズマ制御の精度向上が見込まれる。
魁半導体は2021年6月7日、滋賀県立大学と共同開発した、真空プラズマ装置内で動作するIoT(モノのインターネット)センサーを用いて、プラズマ発光状況を直接検出し、無線通信で外部送信することに成功したと発表した。
開発したIoTセンサーは、真空チャンバー内に設置してプラズマ処理をモニターするための色彩センサーだ。チャンバー内部でプラズマ発光状況を直接検出し、外部PCなどへデータを無線送信できるため、プラズマ制御の精度向上が見込まれる。
これまでは真空内に電子回路を含む機器を設置できず、色彩センサーは外部からガラス窓越しに測定することしかできなかった。同社によると、今回の成果は世界初となる。
真空プラズマ装置をはじめとする真空装置は、半導体や医療、バイオなどの分野で幅広く利用されている。同社は今後も新たな真空プラズマ処理装置の開発を進め、製造現場での歩留まりや性能の向上に貢献していく。さらにはAI(人工知能)技術を活用した、経験を問わず誰でも均一な処理ができる装置を提供したいとしている。
なお、この研究は、総務省が公募した「平成31年度戦略的情報通信研究開発推進事業(SCOPE)」の採択事業の1つとなっている。
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