「ミラーワールド」に「草の根DX」、今後3年間で注目の技術トレンド:製造ITニュース(2/2 ページ)
アクセンチュアは2021年5月24日、今後重大な影響力を持つテクノロジートレンドをまとめた調査レポート「Accenture Technology Vision 2021」についての発表会を開催した。同調査では、今後3年間で重要性を増すテクノロジートレンドとして、テクノロジー戦略と事業戦略の関係性やノーコード/ローコードツールなどが取り上げられた。
デジタルツインをつなげる「ミラーワールド」
2つ目は、仮想空間内に点在するデジタルツインを統一的に把握する巨大なデジタルツイン「ミラーワールド」の実現である。将来予測を行う上でリアルタイムデータの重要性が高まっており、それに伴いデジタルツインへの注目も高まっている。ただ、現状のデジタルツインは各企業の工場やプラント、街の交通情報など適用領域に応じて個別に作成、運用されている状況だ。こうした個別のデジタルツインを統合するような仮想空間基盤の実現に向けた取り組みが進む可能性があると山根氏は指摘する。ミラーワールドが実現すれば、単一のデジタルツインより強固で、将来予測に不可欠なリアルタイムデータ基盤が構築可能になる。
ただ、ミラーワールドの実現には企業や業界、公的機関などを越えたデータ連携が必要になる。データの標準化に向けた取り組みも必要になり、企業や団体間でのコラボレーションが求められると山根氏は指摘する。
「草の根DX」実現への課題
3つ目はノーコード/ローコードツールの活用を通じた現場社員による「『草の根DX』の拡大」である。山根氏は、兵庫県神戸市の市役所職員が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の情報提供アプリをノーコードプラットフォームで開発したことを例に挙げて「民主化されたテクノロジーを武器に、誰もがイノベーターになれる時代に突入している」と語る。
一方で、過去に現場社員がExcelのマクロツールなどで業務アプリケーションを作成するEUC(End User Computing)が流行した際には「類似したツールが社内に乱立する他、作成者の異動や退職によってツール内部がブラックボックス化するなど多くの課題も生じた」と山根氏は指摘する。これらの問題は、現在、DXを推進する上での社内のボトルネックになっている事例もある。このため「非IT系社員もアプリケーションを開発できる環境を整えるとともに、非IT系社員にIT教育を施す必要がある。また、その中でIT部門が現場のツール開発にどのように関与するか、その役割を再考する必要がある」と語った。
この他のテクノロジートレンドとしては「リモートワークなど働き方の変化」「MPS(マルチパーティーシステム)の創造」などを挙げた。
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