製造現場を高度化、産業機器向けAtom x6000E搭載CPUボード開発サービス開始:組み込み開発ニュース
OKIネクステックでは、産業向けカスタムCPUボードなどを中心に、電子機器開発サービスを強化している。新たに「Intel Atom x6000Eプロセッサシリーズ」を搭載したCPU評価ボードを開発し、この評価ボードをベースにしたフルカスタムCPUボード開発サービスを2021年5月6日から開始した。
OKIネクステックでは、産業向けカスタムCPUボードなどを中心に、電子機器開発サービスを強化している。新たに「Intel Atom x6000Eプロセッサシリーズ」を搭載したCPU評価ボードを開発し、この評価ボードをベースにしたフルカスタムCPUボード開発サービスを2021年5月6日から開始した。
OKIネクステックは、2021年4月に沖電気コミュニケーションシステムズと長野沖電気が統合して誕生した会社である。DMS(Development&Design Manufacturing Service)/EMS(Electronics Manufacturing Service)事業を展開し、電子機器の開発や製造などを担っている。
同社が強みとしているのが産業用機器の受託開発である。「ボードの開発から生産まで対応できる点が特徴だ。月産200程度から1000くらいのロットまで対応でき、同じものを大量に生産するのではなく、カスタマイズが要求される産業用途などでの引き合いが強い」とOKIネクステック 開発本部 技術第2部 部長の市川紀久雄氏は語っている。
産業用機器ではIoT(モノのインターネット)化の流れに合わせ、エッジコンピューティングなど、情報処理性能の向上が求められている。こうした流れに合わせ、OKIネクステックが新たに開始したのが、産業用IoT向けに強化された「Intel Atom x6000Eプロセッサシリーズ」を搭載したCPU評価ボードをベースとした「フルカスタムCPUボード開発サービス」である。
「フルカスタムCPUボード開発サービス」は、産業用IoTで求められるリアルタイム性、セキュリティ、機能安全を実現した新たな評価ボードを基に、顧客の要求に合わせてフルカスタムのCPUボードを開発するものだ。
評価ボードは、最大2.5Gbpsのイーサネットネットワークおよび高精度の時間同期機能によって信頼性の高いデータ配信を可能とし、リアルタイム性を実現している。時間同期機能としては、TSN(Time-Sensitive Networking)に対応した(LINUXのみ)。また、デジタル認証、暗号化など最新のテクノロジーを組み込み、セキュリティ対応なども行う。機能安全については、FuSaに対応し、安全規格に対応できるインタフェースをサポート。機器の異常による危険事象のリスクを低減する。
この評価ボードに加え、OKIネクステックが持つ各種デバイスやLAN、USB、ディスプレイなどの周辺技術、Windowsなどのオペレーティングシステムを稼働させるためのU-EFI(Unified Extensible Firmware Interface)カスタマイズ技術などを活用。顧客企業の製品開発期間の短縮に貢献する。また、省電力設計や、組み込み許容スペースに合わせたボードの小型化、特殊形状応なども行う。設置環境に合わせた設計や長期稼働を可能とするための部品選定や信頼性評価も進める。
OKIネクステックでは、これらの評価ボードの販売と開発サービスを合わせて年間10億円の売上高を目指す。市川氏は「ロボットや産業機械の制御用ボードとしての活用を期待している。産業用途では、エッジでの情報処理性能向上への期待が高まっており、その中でコストと折り合う形で導入していくことが求められている。その意味で新たなAtom搭載ボードへの期待も高い。戦略製品として展開する」と語っている。
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