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新型コロナの肺障害治療薬、後期第II相医師主導治験へ:医療技術ニュース
東北大学を中心とする研究グループは、新型コロナウイルス感染症に伴う肺障害に対するPAT-1阻害薬TM5614の前期第II相医師主導治験を2021年3月に終了し、同年6月から後期第II相医師主導治験を開始する。
東北大学は2021年4月28日、新型コロナウイルス感染症に伴う肺障害に対するPAT-1阻害薬「TM5614」の前期第II相医師主導治験を2021年3月に終了し、同年6月から国内20医療機関における後期第II相医師主導治験を開始すると発表した。
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TM5614は、慢性骨髄性白血病の治療薬としてその安全性を確認されているが、新型コロナウイルス肺炎患者に対しては不明であった。そのため、東北大学、京都大学など7医療機関で、2020年10月〜2021年3月末に前期第II相医師主導治験を実施し、安全性を確認した。後期第II相医師主導治験では、中等症の新型コロナウイルス肺炎患者100名を対象に、TM5614の有効性を評価する。
東北大学が開発したTM5614は、血栓の溶解を促し、肺の炎症や繊維化を改善する作用を持つ。新型コロナウイルス感染症に伴う肺炎の重症化を防ぐ治療薬として有効性が期待され、治験が進められている。経口薬のため、外来で処方し、自宅やホテルで療養中の患者にも投与できるという利点がある。
TM5614は、同大学発ベンチャーのレナサイエンスと連携して開発が進められており、アメリカやトルコなど海外の医療機関でも治験を実施中だ。
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