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出そろった2020年度決算、2030年の電動車戦略は見直しを迫られる自動車業界の1週間を振り返る(2/3 ページ)

1週間、お疲れさまでした。大型連休明けはうまく復帰できましたか? カレンダーに関係なくお仕事だったという方もいらっしゃるのでしょうか。梅雨入りのニュースも聞こえてきて、季節が進んでいるのを感じますね。湿度が高いシーズンが来るのは憂鬱です。

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数年前の電動化計画は修正せざるを得ない状況に

 研究開発費や設備投資はどの自動車メーカーも減らせませんので、投資の余力はなんとしても生み出す必要があります。自動車メーカーが投資すべき分野はいわゆる「CASE」で幅広く、簡単に優先順位をつけられるものではありませんが、やはり注目されるのはカーボンニュートラル達成に向けた電動化です。決算会見でも、電動化戦略に触れる質問が多数ありました。ホンダが2040年に販売車種を燃料電池車(FCV)と電気自動車(EV)のみにすると宣言したばかりであることも、関心を集める要因となったことでしょう。

 トヨタは決算会見で、2030年の電動車販売の見通しを公表しました。電動車はハイブリッド車(HEV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、FCV、EVの総称で、グローバルで800万台を見込んでいます。このうち200万台がEVとFCVです。2017年時点では、2030年に電動車の販売台数を550万台とし、EVとFCVは合計100万台という計画でした。大幅に上方修正した格好です。商品名やプレスリリースなど対外的な資料で「HV」「PHV」「FCV」という表現を貫いてきたトヨタが、「HEV」「PHEV」「FCEV」という表記で新たな電動化戦略を説明したのが個人的にはとても印象的でした。電気自動車のことは「BEV」と表現していました。電気自動車だけが電動車ではなく、さまざまなElectric Vehicleがあるのだという強い意志を感じますね。

 マツダもEVの販売見通しを修正しました。マツダは2018年に発表した技術戦略の中で、2030年に全ての車両に電動化技術を搭載すると発表していましたが、その中でEVの比率は5%程度としており、ほとんどが内燃機関とモーターを組み合わせたHEVやPHEVだと見込んでいました。得意とするディーゼルエンジンも電動車の1つとして残す考えでした。2020年度決算を発表した会見で丸本氏は、さまざまな電動パワートレインをそろえるマルチソリューションの考え方は変わらないと前置きしつつ、「EVの比率は4分の1程度にすべきだ」とコメントしました。また、近いうちに環境規制をめぐる状況変化を反映した技術戦略を発表するとしています。

 スバルは2020年に電動化戦略のロードマップを発表したばかりということもあり、2030年にグローバル販売台数の40%以上をEVとHEVにするという目標は変更していません。「40%」の内訳は明らかにしていませんが、スバル 社長の中村知美氏は「EVだけではなくHEVの時代も必ずあるのではないか。2030年の段階で40%まで電動車を増やせれば、2030年代前半に全てを電動車にできそうだ。この環境変化の速さを考えると、車種を増やしたり、発売時期を前倒ししたりすることが必要になってくるだろう」とコメントしています。

環境変化に強い開発体制へ

 こうした環境の変化を踏まえ、開発体制も変わらなければならないという危機感もにじみ出ました。例えばトヨタはシミュレーションの活用だけでなく、トヨタ生産方式の考え方を取り入れて改善し続ける効率的なデジタル開発などによって、少ないリソースで従来と同等以上の開発を目指します。規制やユーザーの嗜好の変化を的確に捉えながら製品化するためには、開発期間の短縮が不可欠だといいます。実際に、先日発表したSUVタイプのEV「bZ4X」は、従来の車種と比べて開発期間を30%短縮しています。今後投入するEVは開発期間を従来から40%短縮します。リソースやコストを抑えた開発体制とすることで、変化にも強くなるという考えです。

 スバルも、開発体制の改革を進めています。モデルごとに最適な形を追求する体制から、「環境」「安全」「楽しさ」など価値の軸と「パワートレイン」「アイサイト」「コネクテッド」の機能軸で開発する体制に移行します。試作段階のプロセスを減らし、デジタル技術で部品を再現するなど開発の効率化を進めつつ、新たに生まれた工数をコネクテッドや安全、ADASに再分配する方針です。


スバルの開発体制改革(クリックして拡大) 出典:スバル

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