DX時代のサイバー脅威に備えて、「プラス・セキュリティ人材」育成プログラム:製造ITニュース(2/2 ページ)
トレンドマイクロでは現在「プラス・セキュリティ人材」の育成プログラムを開発中だ。製造業各社が多様なDXプロジェクトを推進する中では、非セキュリティ専門職の人材も相応の職務に応じてサイバー脅威のリスクを体系的に学んでおくことが好ましい。
非セキュリティ専門職向けのカリキュラムは少なかった
民間シンクタンクの日本サイバーセキュリティ・イノベーション委員会が2019年に出したレポートでは、セキュリティ人材の不足数はIT事業者やセキュリティ事業者では約2万人以上と見積もる一方で、製造業を含めた一般事業者の不足数は約15万〜16万人以上と推測している。
しかし、IT事業者やセキュリティ事業者に比べると、製造業を含めた一般事業者のDX推進やSCM(サプライチェーンマネジメント)を担当する非IT専門職、非セキュリティ専門職を対象とした教育プログラムの数は少なかった。「顧客情報や図面、製造プロセスなど攻撃者が狙う資産や、攻撃の目的、そしてサイバーセキュリティのリスクと構造そのものを網羅的に学べる機会があまりなかったということだ」と安元氏は指摘する。
こうした課題を解決し得るのが現在開発中の教育プログラムということになる。安元氏は今後の製造業におけるサイバーセキュリティ対策の在り方について「製造業では今後、スマートファクトリーのような取り組みだけでなく、例えば顧客コミュニケーションの領域などでもDXが加速するだろう。この過程で、社内のIT部門がDXプロジェクト全体をカバーしきれない場合もある。多種多様なDXプロジェクトに伴い生じるセキュリティリスクに対応可能なプラス・セキュリティ人材の重要性が増すはずだ」と語った。
開発中の教育プログラムなどを通じて、トレンドマイクロは2023年までに、戦略マネジメント層については約5000人、プラスセキュリティ人材については約7万5000人の育成を図る予定だという。
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