サーモカメラの信頼性を向上、適切な使用方法を普及するコンソーシアム設立:製造マネジメントニュース
日本コンピュータビジョン、アイリスオーヤマ、ダイワ通信は2021年4月23日、使用ガイドライン策定などを通じてサーモカメラ搭載デバイスの信頼性向上を目指す「サーモカメラコンソーシアム」を共同設立すると発表した。測定を正確に行うためのポイントをガイドラインとしてまとめるほか、デバイスの機能や性能が一定水準を満たしていることを証明する機器認定証の発行なども行う。
日本コンピュータビジョン、アイリスオーヤマ、ダイワ通信は2021年4月23日、使用ガイドライン策定などを通じてサーモカメラ(赤外線サーモグラフィー)搭載デバイスの信頼性向上を目指す「サーモカメラコンソーシアム」を共同設立すると発表した。測定を正確に行うためのポイントをガイドラインとしてまとめるほか、デバイスの機能や性能が一定水準を満たしていることを証明する機器認定証の発行なども行う。
画像左から日本コンピュータビジョン COOの本島昌幸氏、アイリスオーヤマ BtoB事業グループLED・IoTソリューション事業部 事業部長の本所翔平氏、ダイワ通信 常務取締役の前田憲司氏*出典:サーモカメラコンソーシアム[クリックして拡大]
精密機械であるサーモカメラを適切に運用するために
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大と共に、さまざまな施設の入退場口にサーモカメラが設置されている様子を見かける機会が増えた。ただ、サーモカメラの設置は感染拡大防止策の1つとして重視されているものの、使用方法を順守していないために測定した体温と実際の体温に誤差が生じてしまうケースもあるという。
日本コンピュータビジョン COOの本島昌幸氏は「サーモカメラは精密機械であり、扱う際には使用方法や推奨設置環境を適切に守る必要がある。測定誤差が生じる状況が増えてしまうと、サーモカメラへの信頼性自体が低下する恐れもある」と指摘する。
そこで日本コンピュータビジョン、アイリスオーヤマ、ダイワ通信の3社はサーモカメラコンソーシアムを共同設立して、サーモカメラ機器の使用方法に関するガイドライン策定に取り組む。幹事会社には3社が就任する。今後はコンソーシアムの目的に賛同するサーモカメラメーカーや、サーモカメラについてよく知る第三者有識者などに参画を呼び掛けていく。
サーモカメラの使用ガイドラインの素案は幹事会社が共同作成する。サーモカメラの推奨設置場所や測定方法、故障が疑われる際の対応方法などを盛り込む予定。例えば設置場所については、サーモカメラは屋内に設置して、直射日光や風が当たる場所、熱源のそばや逆光になる位置などを避けるべきであることなどが記載されている。
測定方法については、帽子やヘルメットを脱いでから機器との距離を正しく取って測定することや、夏季や冬季には被測定者が屋内温度にある程度慣れてから測定すべきであることなどが書かれている。
サーモカメラの信頼性を保証するための「サーモカメラ機器認定」も独自に実施する予定だ。機能、性能、安全性、製品表記の4つの観点について、それぞれ機器性能基準パラメーターを設定し、一定の基準を満たした場合は機器認定証を発行する。機器の測定環境は第三者機関の協力を得て整備した上で、メーカーに提供する。
なお機器の規格化については、「今後コンソーシアムの参加メーカーと協議してサーモグラフィー技術の精度や性能をハードウェア的に保証するための規格化を検討する可能性はある。ただ、現段階では具体的なアイデアがあるわけではない」という(本島氏)。
また、被測定者が測定前に測定方法などを確認するための、設置時案内板のテンプレートも用意しているという。「帽子やヘルメットを外す」「前髪を上げて額を出す」など正しい測定方法や、測定情報の利用用途を簡潔に記載した。
今後はガイドラインの策定や機器評価環境の整備といった取り組みを進めるとともに、セミナーイベントや展示会などでの情報発信を通じてサーモカメラメーカーの参加を促進する他、関連省庁や業界団体と協力した啓蒙活動を行う予定。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- アイリスオーヤマが監視カメラ市場参入、高速顔認識AIを搭載しH.265+にも対応
アイリスオーヤマはAIアルゴリズムを搭載したネットワークカメラ「AIカメラ」を発売。0.2秒での顔認識を実現した他、データ通信量を従来比100分の1に抑えている。 - トレーサビリティーを強化、赤外線サーモカメラ監視システムをパッケージ化
日本アビオニクスは、赤外線サーモグラフィーカメラを用いた「プロセスコントロール用システム 標準パッケージ」を発売する。製品温度を即時計測し、計測結果を生産設備と連携することで、エビデンス管理やトレーサビリティーの強化が可能になる。 - 16人の体温を非接触で同時に検知できるAI顔認証ソリューション
キャセイ・トライテックが、最大16人の体温を同時に検知できる新しいAI顔認識ソリューションをリリースする。AI顔認証と黒体を併用した2眼サーモカメラにより、体温が高い人を非接触で高速、高精度に検知可能だ。 - 横河電機、非接触温度監視・データ記録が行える「SMARTDAC+」サーモグラフィパッケージを発売
ペーパレスレコーダー「GX20」または「GP20」とFLIR Systems製高解像度赤外線サーモカメラをパッケージ化し、非接触での温度監視を可能にした。Ethernet経由でデータを記録し、設定値から外れた場合のアラーム発報も行える。 - NVIDIAも「ユニーク」と評価、Jetson Nano内蔵のインテリア風デザインAIカメラ
スタートアップのエクサウィザーズが発売した2眼レンズ搭載のAIカメラ「ミルキューブ」。小型スピーカーなど家電製品のようなデザインだが、Jetson Nanoを内蔵するなど性能は高い。しかし、ソフトウェア/ソリューション開発企業のエクサウィザーズがハードウェアを開発する狙いはどこにあるのか。 - Vieureka開発基盤にパナソニックi-PROのエッジAIセキュリティカメラが新規対応
パナソニックは2021年2月19日、エッジAIカメラ「Vieureka(ビューレカ)」の開発管理用プラットフォームについて、AIプロセッサを搭載したネットワークカメラとの通信接続用ソフトウェアを開発したと発表。今後、Vieurekaのユーザーは屋外対応のAIネットワークカメラをエッジデバイスとして運用できるようになる。