火災にもなるトレーラーのブレーキ引きずり、デンソーが温度監視システムを開発:安全システム
デンソーは2021年4月20日、トレーラー向けにブレーキの異常な温度上昇を検知する「トレーラブレーキ温度監視システム」を日通商事と共同開発したと発表した。同年4月下旬から日通商事と日本トレクスが販売する。
デンソーは2021年4月20日、トレーラー向けにブレーキの異常な温度上昇を検知する「トレーラブレーキ温度監視システム」を日通商事と共同開発したと発表した。同年4月下旬から日通商事と日本トレクスが販売する。
トレーラーの火災は8割以上がブレーキの引きずり(ブレーキが作動したままの状態で走ること)が要因となっている。トレーラーのブレーキ引きずりは運転中に気付くのが難しく、2012〜2015年の3年間では82件の火災が発生した。ブレーキを引きずった状態で走行する実験では、走り始めて10分で発煙し、35分ほどでタイヤから発火した。
トレーラーのブレーキ引きずりの原因としては、パーキングブレーキを空気圧で解除するスプリングブレーキチャンバーのエア漏れや戻り不良、内部のスプリングのサビや損傷がある。トレーラー側の非常ブレーキを作動させるリレーエマージェンシーバルブが詰まることによるピストンの固着も同様だ。冬期はリレーエマージェンシーバルブ内の水分が凍結することでバルブ内のピストンが固着することが原因となる場合もある。
トレーラブレーキ温度監視システムは、各車輪のブレーキに温度センサーを設置し、異常な高温や急激な温度上昇、他のブレーキとの温度差を検知する。トレーラー前端に設置した警告インジケーターの光で、サイドミラー越しにドライバーに警告する。火災などのトラブルが発生する前にドライバーが異常を把握することができる。
トレーラーのブレーキ引きずりを防ぐには、スプリングブレーキチャンバーやリレーエマージェンシーバルブの点検、劣化しやすいゴム部品の定期的な交換、パーキングブレーキの確実な解除を確認することなどが必要だ。
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