汎用インバーターシリーズを大幅に刷新、業界最高クラスの応答性に:FAニュース
富士電機は、汎用インバーター「FRENIC-MEGA」シリーズを大幅に刷新した。応答性を業界最高クラスに高めて生産効率を向上したほか、予知保全機能の追加や冷却機構の見直しがなされている。
富士電機は2021年3月23日、汎用インバーター「FRENIC-MEGA」シリーズを大幅に刷新したと発表した。電流応答は1000Hz、速度応答は200Hzで、業界最高クラスの応答性を備えた。
応答性を同社従来製品の約2倍に高めたことで、モーターが受けた負荷で低下した回転数が指定の回転数に戻るまでの時間が短縮し、より速く、安定した稼働が可能になる。その結果、加工品質の安定化や加工速度の向上にも貢献する。
また、予兆保全機能を追加した。インバーターの主要部品であるIGBTモジュール(パワー半導体)の出力電流、出力周波数をモニタリングして、異常の兆候が見られた場合に警告を発する「寿命予測機能」、インバーターの冷却能力が低下していないか、兆候を検知する「冷却能力低下警報機能」により、装置の停止を未然に防ぐ。
他に、モーター異常が発生した場合、直前の出力電圧、出力周波波形を記録する「トレースバック機能」により、不具合の原因を特定する時間を短縮し、保全作業の負荷を低減する。
冷却機構も見直された。インバーターからの熱を逃がすための冷却システムを盤内に設置する従来の方法に対し、省スペース、省エネが期待される方法として、インバーターの主な冷却部を盤の外に出し、排気熱を直接外に送り出す盤外冷却方式が注目されている。
盤外冷却方式は、冷却システムが不要のため盤を小型化し、電力使用量を低減できる。一方で、主冷却部がほこりや湿気などの影響を受けるため、設置場所が限られることが課題だった。そこで同社では、過酷な環境下でも盤外冷却方式を使用できるように、主冷却部に防水防塵規格「IP55」を適用。これにより盤を小型化、省エネ化しつつ、幅広い環境で使用可能になった。
FRENIC-MEGAシリーズは、3相200V製品として0.4〜90kWの17機種、3相400V製品として0.4〜630kWの28機種を展開。どの機種も、ベーシックタイプとEMCフィルター内蔵タイプを用意している。
主な用途は搬送機械や工作機械、流体機械など。同社は刷新したFRENIC-MEGAシリーズを日本、中国を中心にグローバルに展開する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
- スマートグラスで製造現場の作業を支援! 富士電機が描く先進現場
富士電機は、オートメーション技術の展示会「システムコントロールフェア(SCF)2015」(2015年12月2〜4日、東京ビッグサイト)において「現場とつながる、ものづくりイノベーション」をテーマに、設備稼働率の最大化やエネルギーの最適化、生産性の向上に貢献する製品を展示した。 - 進む産業機械のスマートフォン化、標準化とオープン化がカギに
スマート工場化が進む中、工場内の生産機械や設備にも生産情報や設備情報などを活用するために「つながる」ことが求められるようになってきている。こうした環境に合わせる形で、生産機械についても協調領域については「水平分業型」へのシフトが加速する見込みである。 - スマート工場は“分断”が課題、カギは「データ取得」を前提としたツールの充実
工場のスマート化への取り組みは2020年も広がりを見せているが、成果を生み出せているところはまだまだ少ない状況だ。その中で、先行企業と停滞企業の“分断”が進んでいる。新型コロナウイルス感染症(COVID−19)対応なども含めて2021年もスマート工場化への取り組みは加速する見込みだが、この“分断”を解消するような動きが広がる見込みだ。 - スマートファクトリー化がなぜこれほど難しいのか、その整理の第一歩
インダストリー4.0やスマートファクトリー化が注目されてから既に5年以上が経過しています。積極的な取り組みを進める製造業がさまざまな実績を残していっているのにかかわらず、取り組みの意欲がすっかり下がってしまった企業も多く存在し2極化が進んでいるように感じています。そこであらためてスマートファクトリーについての考え方を整理し、分かりやすく紹介する。 - エッジは強く上位は緩く結ぶ、“真につながる”スマート工場への道筋が明確に
IoTやAIを活用したスマートファクトリー化への取り組みは広がりを見せている。ただ、スマート工場化の最初の一歩である「見える化」や、製造ラインの部分的な効率化に貢献する「部分最適」にとどまっており、「自律的に最適化した工場」などの実現はまだまだ遠い状況である。特にその前提となる「工場全体のつながる化」へのハードルは高く「道筋が見えない」と懸念する声も多い。そうした中で、2020年はようやく方向性が見えてきそうだ。キーワードは「下は強く、上は緩く結ぶ」である。 - 工場自動化のホワイトスペースを狙え、主戦場は「搬送」と「検査」か
労働力不足が加速する中、人手がかかる作業を低減し省力化を目的とした「自動化」への関心が高まっている。製造現場では以前から「自動化」が進んでいるが、2019年は従来の空白地域の自動化が大きく加速する見込みだ。具体的には「搬送」と「検査」の自動化が広がる。